陽だまりの塔にて、

アスネ

第一話

「前書き」



僕はあんなにも美しく儚い罪を見たことが無かった。

きっと人生のうちで人が犯す罪というのは限られているように思える。

例えば法に触れる事実的な犯罪や。人の心を無意識に傷付ける第六感的なもの。

流石に警察沙汰になるような罪は犯したことは無いが、女の子を傷付けてしまったことはある。幼さ故の正義感と、初めて交わした約束から起こした、小さな罪だ。

別にそれで女の子にずっと嫌われてるとか、僕がそれを気にしているわけでは無い。その可愛いらしい罪で僕は、美しい罪に出会ったのだ。感謝とは違うも、こうして彼女に出会わせてくれたことぐらいには喜ばしいと思う。


ーーーこれはそんな僕が彼女に何かしてあげられたかと嘆く。短い話だ。


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第一節「都市伝説の天使」


いくつもの罪を被って、あなたは微笑み続ける。


良いも悪いも全て飲み込んで。下らない人間のために、あなたは今日も目覚める。


罪を背負い続ける事に嫌になる日も。何処かへ逃げたくなる日も。全て飲み込んで。


あなたは今日も目覚める。


冷たい潮風に吹かれて、眠たそうに欠伸をする。


その小さな肩に背負い過ぎた罪で空も飛べず、ずっとあなたはそこで待ってた。


誰かに救われたい。助けて欲しいって。


その役目が僕だと、信じてもいいのかな。


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この現代社会において法に触れる行為は犯罪である。それは誰が名義した訳でもない人間だ。人間がこの世界で都合よく、言い換えると平等に誰もが安心した生活を得るために決めたルール。そのギリギリの上を歩いているのが僕たち現代人であると僕は思う。

別段、僕がこの世界の規則を変えてやるとか思っている訳でもなく。ただ、目の前の困り果てた状況から目を逸らしていただけで。罪とか善悪なんて高が人間に決められないのを僕は知っている。

「人を殺してしまうかも知れないんだ!助けてくれ!」

耳を外に向ければうるさい怒鳴り声が聞こえた。

大声で中年の男は古ぼけた灯台で叫んでいる。それも、何処と無く宙を見つめて。確かにあるものは目に見えないのに。

その姿はさぞかし滑稽だろう。歩いている人が居たならば足を止めてる。それに、叫んでいる内容が内容だけに通報し兼ねない。だが、勿論そんなことは起こり得ない。

僕はうるさいなぁと首を回しながら、塔の下をチラリと見下ろした。

そこにはまだ男がいる。助けてくれ助けてくれと叫んでいた。とても耳障りで汚い救いだ。けれど、灯台の中に入れないということは“まだその時”ではないらしい。仕方ないがお帰り申し上げよう。

よっこらせと、僕は塔の一番上に登る。はしごを伝い、今にも底が抜けそうなボロボロの床を歩く。その度にミシッと危険な音を立てて僕を驚かそうとする。けれど、ここの床が抜けるなんてあり得ないのを僕は知っている。だから、どんなに僕を怖がらせようとしたって、

「うわぁ?!」

瞬間、足元に青白い蛇が大量に現れる。けれど、僕なんか無視して蛇たちは下へ降りて行った。

それを見送って僕は再び最後のはしごに足をかける。またミシッと音がするがもう気にしない。これも僕をからかう内の一つだ。

これ絶対に起きてるよね…。

やっとの事で最後のはしごを登る終え、塔の屋根裏へとたどり着いた。

「天使さん?意地悪な起こし方しないで下さいよ」

言いながら僕は真っ白なベッドで美しく眠る天使に喋りかけた。

「確かに遅刻ギリギリまで寝てた僕が悪いですけど…。って、いい加減に寝たふりは酷くありませんか?」

言って僕は天使さんに歩み寄る。その拍子に天使さんはパチっと目を覚まし、ベッドから起き上がった。

「きちんと眠っていましたから、ふりではないのですよ」

「そうですね。って…また寝ないで下さいよ」

パタリ、大の字のなって天使さんはベッドに横たわる。どうやら二度寝する気の様だ。

朝からうるさい男のせいで睡眠を邪魔されて不機嫌なのかもしれない。僕だって気持ちよくソファで寝ていた所を起こされ憂鬱だ。きっと天使さんはその倍以上にお怒りかもしれない。それなら、蛇を呼び出して男を追い払いたくもなるだろう。現に今度は悲鳴を上げて男は逃げていった。それを天使さんと僕は窓で見届けてから僕は身支度を始めた。

「あら、もう出発されるのですか」

「今日は日直だから早めに行きます。また放課後に会いに来ます」

「お待ちしてますね」

振り向きざまに言われて僕は鞄を落としそうになる。

天使さんが…笑ってる。

ちょっと面食らってそのままでいれば、天使さんは遅刻しますよ、と優しく言う。それに元気良く返し僕は勢い良く塔の下に降りた。少し名残惜しめに入り口の扉を開ければ、すぅっと透き通った風が肌に触れる。

「行ってきます」

気を引き締めて言って僕は学校へと向かう。


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僕が“天使さん”と呼ぶ存在は本当に天使である。

格好姿が神秘的で羽が生えていたり、頭に輪っかがある訳ではないが彼女は天使だ。それは間違いなく言える。

それを証明するのにはかなり時間がかかるも。僕自身が天使さんの力に助けられ、今こうして生きている。それがなりよりの証拠だ。

けれど、どうして天使があの海辺の灯台で暮らしているのか。それは僕にでも分からない。一度だけ天使さんに聞いたことはあるが、教えてはくれなかった。

ただ毎日あの塔へ罪を犯し犯された人を救う為に起きては寝て。そんな生活を送り続けている。

僕が天使さんと出会って十年以上経つが、そのリズムが崩れたことはない。

それに天使さんも誰彼構わずに助けてはないようで。

「どうしよう、彼氏に浮気してるのバレちゃった〜」

こういった不純な行為を後悔して塔にやって来る人も数多くいる。だが、その中で天使さんが助けた人はごくわずかで。そのどれもが老人ばかりだった。

理由は一目瞭然で。

「まぁ、今彼よりも好きだし。良いけど」

この通りである。

いくら浮気をしたという事が悪だろうとも、本人が心から反省してあの塔にすがるなら。天使さんは彼女を罪から救うだろう。けれど、これだ。救う余地もない。

その点、年老いた人の恋愛となると現代と違って一生もの。それも結婚は親が決めた相手とのみ許され、一生をそい添い続ける。例え他に想い人がいようとも。家同士の良い関係づくりの下地にされてしまう。

「すごい喧嘩になったら、都市伝説の塔に行けば良いもんね」

いや、無理だし。

あからさまに彼女たちから視界を変えて。僕は窓側に顔を向けながら、思いっきり机に頬杖ついた。

窓の向こうには今朝まで二度寝していた例の塔が見える。

「でもさ。あの塔ってこの近くにあるんだよね?見当たらなくない」

「都市伝説だし結局うそなんだって」

数人の女子生徒は下品な笑い声を上げながら言う。

だが僕にはきちんとこの窓からあの塔が見える。古ぼけた灯台が。

しかし、彼女たちに見えないのも無理がない。あの塔は心から救いを求める人だけがた辿り着く。今朝の中年の男も女子生徒もその条件を満たしていないし。もっと言うと、あの塔はただの助けを求めるだけの塔ではない。罪を犯した人、犯された人が集う場所だ。

罪を犯した人なら分かるが、犯された人となるとイメージしにくいなと思う。だけど、簡単で。

「ちょっと、これ見て!今見つけたんだけど…」

一人の女子がスマホを片手に騒ぎ始める。画面に対して円になりながら、女子生徒は覗き込む。

それを見てうわっと酷い顔して口元を覆う。

「ミカ…これヤバイよ」

「てか、ミカ何ヌードとか撮ってんの?ウケるんだけど」

いわゆるリベンジポルノというやつだろう。最近は良くあることだ。最初はお熱い男女も最終的には汚い腫れ物みたく、お互いで突っつきあっては無惨な姿になる。

きっと本当に好きだったならば、本当に嫌いになると思う。裏切られた事は許しは出来ないし、こういった行動に出るのも無理もない。

浮気をされて悔しい想いを抱え、それでも彼女を思う気持ちが尾を引いてしまう。そんな罪を犯された人を天使さんは助ける。勿論、罪を犯した人も。

「何もう!嫌ぁあ!!」

ミカと言うらしい女子生徒は泣き叫ぶ。

一度SNSに投稿された画像は一生をかけても消去不可能とも言う。きっと何十年後もエロとか何とか付くサイトに悪用されて、おじさん方のおかずにされるのだろう。

そんな、どうでもいいことを朝から見てしまったせいか。僕のやる気は急降下だ。しかも、日直というだけあって、毎朝の天使さんとの二度寝が数十分しか出来なかった。本当なら二度寝した後に天使さんお手製の朝食も出てくる。それがどれも食べたことのない味で、人間なんかには到底辿り着けない境地の味だ。それだけでも、天使さんが本当の“天使”というのが物語っている。

そこでようやく予鈴が鳴り、女子生徒は仕方な気に席に着く。だが、ミカという女子生徒だけは下を向きながら教室の外に出ていった。

「起立、礼。お願いします」

着席とテンポよく言って僕は日直の第一の使命を果たした。


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「お願いです!僕を許して下さい…!僕は悪い子なんです。お願い、僕を許して…」

幼い男の子は泣きじゃくりながらも、真剣に叫ぶ。

少年の何倍も高さのある古ぼけた塔に向かって。何度も何度も。助けを求めた。

本当にいくつ数えただろうか、忘れてしまうくらい泣き叫んで、ようやく塔の扉は開いた。ギギぃっと危なかっしい音を立てながら、ゆっくりと。

「初めまして…。ふぁ、あなたが私を起こしたの?」

すれば、真っ白いふわふわしたシルク生地のドレスに身を包み、背中から大きな翼を生やした女性が現れる。どうやら寝起きなのか、綺麗な衣装とは真逆に顔は緩んで髪もボサボサだ。灰色の星が流れる銀河みたいに、綺麗で長い髪がもったいない。

そんなことを気にする事もなく、名神に出てくる天使のような女性はニコリと微笑むと、手招きした。

「どうぞ、いらっしゃい。美味しい茶菓子が用意してあります。食べながらお話をお聞きしましょう」

そうして少年は数分後、彼女が本物の天使と知って驚愕するのだ。


こんなに素敵な天使さんがいたんだね、と。


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第二節「罪の行方」


ぼんやり夕日が海に沈む様子を眺めながら、僕はくだらない一日をまとめた日誌を書いていた。

もちろん、その夕日の背景には天使さんのいる塔も目に映っている。真っ白な壁にどこの周りに草木は生えていないのに、突如蔦で覆われている。入り口も簡素な縦付きのドア。呼びベルも無ければ、人が出入りする気配もない。

「天使さんまだ寝てるかな」

ずっと天使さんと出会ってからというもの、僕は四六時中天使さんの事を考えては思う。どうして罪も犯し犯されてもいない僕が、あの塔に出入り出来るのか。

あの塔には言った通り罪を背負い背負わされた者が集う。僕は過去に天使さんに救われたが、その後もどうしてかあの塔へ通っている。今は僕にまとわりつく罪はないはずだが。もし見えない罪があるとしたら、僕が救われた暁には天使さんの側から消えるのだろうか。それとも、忘れてしまったり。

しょうがない事ばかり考えては日誌は埋まらず。そうして、とうとう日は沈む。

「相川くん?まだいたの、もう帰りなさいよ」

ガラッと教室のドアが開き、担任の女教師が現れた。

「あ、先生。まだ日誌が埋まらなくて困ってた所なんです」

「日誌?まだだったの」

遅いんじゃないと言いたげに女教師は僕の前の椅子を引いて腰を下ろす。

細くて白い手がこちらに伸びて来て日誌を手に取った。

「ここの“今日の出来事”ね。そんなのクラスメイトのスキャンダルでも書いとけばいいのよ」

「嫌ですよ、僕絶対に恨まれるじゃないですか」

「あの子にはこんな小さな日記の、小さな記事でも今は脅威よ。いいじゃない」

それが分かってるから嫌だって言うのに…。この先生は本当昔から変わらず教師に向いていない。

きっと朝から職員会議に例の件を持ち出され、担任としての監督指導がどうだの言われたのだろう。確かまだ教師になって二、三年目だった気がする。その前は思い出したくもないが良くない経歴で、僕はその当時にこの女教師もとい成宮五十鈴と出会った。それも天使さんを通して。

天使さんから、ということから自ずと察しれるだろう。そう、彼女も罪から救われた僕と同じ犯罪者。いや、僕は犯罪者ではないのだけれど。彼女は本当の意味で法を犯し、天使さんに救われて、再度新たな人生を生きている。

「まっ、あの子が付き合ってたっていう彼。ネット上の人物なのよねぇ」

「あぁ、出会い系ですか」

「それよりタチ悪いやつよ。名前は忘れたけど」

興味なさそうに茶髪の長髪をいじりながら言う。

「なんでも、お互いの写真を送り合って何やかんやするらしいの。で、結局ホテルでオフパコって訳」

うわぁ…とわざとらしく僕は嫌悪を向けた。事実が事実なだけに、言葉を選んで言って欲しいものだ。

「で、結局その相手に会って、理想とかけ離れすぎた為に拒絶…ですか」

「SNSでの出会いなんてそんなものよ。自分の目や耳で相手のことを見極めないと、いけないのにね」

その、恋愛についての何たらが分かっているような口ぶりに、僕は違和感を覚えた。

「先生…って確か二一ですよね。僕と三つしか変わらないのに、何でそんなに経験が豊富な」

「はぁ?!三つも!三つもでしょ、普通!

あんたみたいなガキとは違うのよ、生きてきた世界っていうの。なんか…その、そんな甘くないのよ」

それを言われて僕はあぁ、と思い出すも。そこには何1つ恋愛についてのことは何もなかった。というか、先生がいた世界では恋愛も家族も、そんな普通なものはなかったと思われたが。僕は何も言わなかった。

「はい、書けました。先生ほら、帰りますよ」

「先生って…やっぱり慣れないわね。ほら荷物持ちなさいよ」

ぶつぶつ言いながら先生は重いバッグを僕に押し付ける。何が入ってるんだよ、と思いたくなるぐらいの重量にまさかと視線を巡らせば。

「こそドロなんてもうしてないわよ!これは、あんた達の課題やらプリント。家で採点するのよ」

案外まともな返答に僕はホッとした。出会った当時の彼女なら絶対にあり得ない、いや嫌いだっただろう。真面目に生きるという、今の彼女の生活が。


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校舎の中はまだ暖かく気付かなかったが、春先の四月。普通、夜分は冷える。外は肌に少し触れて、離れてを繰り返す程度の冷気が漂っていた。つまり、なんか寒いぐらいであった。別に厚着するほどでないが朝は寒い。朝は寒いが昼には汗をかくくらい暑い。そんな優柔不断な春が僕は嫌いだった。

「私が言うのもなんだけど、ちゃんと進路は決めときなさいよ」

その言い振りは教師という建前ではなく、単に彼女自身の心の叫びだろう。もう消えてしまった、いや最初から存在しなかった彼女の想いから。

だけど、それは僕にとって鬱陶しかった。

当てつけ。叶わなかった夢。普通の幸せな生活。そんな意味合いが含まれたセリフは僕にはまだ、重かった。成宮五十鈴という女の全てを背負うような返事を、まだ僕にはできない気がしたのだ。

そんな杞憂を察したのか先生は変な誤解はしない、と言って。

「あんな大人にはなるなって、言ってるのよ」

遠くの方を凍てつく目線で見据えて先生は見捨てた。

その先を追って見れば暗闇にギラッと光る鈍い刃先が見えた。それは簡素な街灯に照らされ、狂気の主張を放っていた。これに触れたら命が危ない。それは直感的に分かった。

きっと、そう思ったのは僕が天使さんの塔に幾時も出入りしているから。それと、こういった出来事は初めてではなかったから。

「多分、今朝の…」

「分かってる。離れてて」

邪魔だと言わんばかりに先生僕を後ろ手で退けると、そのままカシャンッと機械音が聞こえた。

ファインティングポーズの基本、いや。その拳で何人もの人間を払い除け生きて来た証の手。それを強く握りしめた先には黒いトンファー。そんな殺しの極意を身体中に嫌でも染み付けた姿は格好良くもなかった。

先生は相手の間合いを確かめるためか警戒を怠らず嗾ける。

「あんた、本気で人でも殺せば救われると思ってるの?」

その言い草は経験を表していた。

かつて救われた者が言う台詞だ。

だけど先生は本当に救われたのか。その疑問はいつも耐えたしない。

「俺は見たんだ!こいつが塔がある場所から出てくるのを!だから、こいつを…」

殺せばいい。

そうしたらきっと天使が救ってくれる。こんな見すぼらしい姿も、汚れた心も、全て。

そんな甘えが今朝の中年男からはだだ漏れだった。そんなこと、ある訳もないのに。

「殺しで救う天使なら今頃、留置所行きの犯罪者は天国ね」

明るい場所まで出てきた男をしっかりと捉え先生は言い放つ。

どうやらその言葉で現実を察してしまったらしく、男は叫ぶ。汚い救いを乞うて。

その好きに先生はトンファーの先を男に向けて走る。体を地面に這わすように、徐々に体勢を前のめりに上げて。そのスピードを押し殺さないよう、全神経をトンファーに注ぐ。

瞬間、二本のトンファーは男の首を捉えた。首の左右に重い打撃を食らって男はよろめくが、その不安定な足取りが男の手元を狂わす。

「せんせ、」

言いかけたも遅く。すかさず異変に気付いた先生は左手の持ち手を九十度に回転させる。その勢いで男の手の包丁を弾き飛ばす。

キンっと鈍い音を鳴らしながら、それは僕の足元まで飛んで来た。

「もう降参しか手はないんじゃない」

言いながら、右手のトンファーも九十度に回転させて、俯いた男の首もとに殴りつける。それを左手、右手、左手…何度も繰り返したところで男の意識は絶えた。

有無を言わさぬとは正にこの通りで。男に反撃の余地も与える暇もなく、先生はあっという間に撃退してしまった。ものの三分の出来事だ。

その様子をトンファー越しの感触で読み取ったのか、先生は服の袖の中にトンファーをしまうと踵を返してこちらに歩み寄る。

あまり言いたくはないが、とても恐い。強いからという理由で無しでも先生は恐いけれど。 それは大人の魅力が血で鈍く光ってるからでは、ないだろうか。多分。

「早く、帰るわよ」

何事もないように言い去って先生は先を行く。僕を置いて行く気でカツカツと、靴底を鳴らして行くから余計に恐い。

待ってください、も言えず。僕は素直に先生の後ろ姿に付いていった。

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[随時更新中]




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