第7章 永遠に続け、いい予感!!

第二の思春期、到来!?

第53話

 ゴールデンウィーク前に開かれた吹奏楽部とアンクラの合同での新歓コンパを皮切りに、吹奏楽部とアンクラの新体制はスタートした。両サークル合同の話し合いを重ねた後、華英はなえちゃんと慶太けいたくん、ももちゃんは再び吹奏楽部に戻ってきた。それだけでなく、両サークルの部員たちは随分と打ち解けてきて、一つの吹奏楽部だった時代が戻ってきたように和気あいあいとしていた。私たちは知らないけれど、仲間割れする前の吹奏楽部もきっとこんなふうに仲の良い雰囲気だったのだろう。

今日は第一回目の定期合同ミーティングが開かれる土曜日だった。昼の13時、練習を終えたアンクラの部員たちが3階から降りてきて吹奏楽部の練習場にぞろぞろと入ってきて、総勢90人近くが揃ったところで、ミーティングは始まった。連絡事項を共有した後、遼弥りょうやくんが「他に何かある人はいませんか?」と問いかけると、慶太くんが挙手をした。すると慶太くんは床から立ち上がり、前に向かって歩き始めた。それからやや遅れて、華英ちゃんも慶太くんの後について前に出た。二人並んで座っているみんなのほうを向くと、慶太くんは一呼吸おいてから口を開いた。


「吹奏楽部とアンクラの皆さん、先日はご迷惑をおかけしてすみませんでした。あれだけ大騒ぎしたけれど、ここで報告させてください。僕は、坂下さかした華英さんと正式にお付き合いし始めました。もう迷惑はかけません。お願いです、僕たちのお付き合いをお許しください」


華英ちゃんも慶太くんに続いて、話し始めた。


「慶太くんより先に騒ぎの種を蒔いてしまったのは私です。でも、どこまでも私に寄り添ってくれる慶太くんを見て、私は彼となら大丈夫、と確信しました。私からもお願いです。慶太くんと私の交際を認めてください」


二人揃って頭を下げる慶太くんと華英ちゃんに、「おめでとう!」「お幸せに!」との声が混ざった拍手が盛大に送られた。すると遼弥くんは、二人に向かってホッとした表情でこう言った。

「慶太、華英ちゃん、ここにいる誰もおまえたちの付き合いを反対するわけないだろ。そこまで謝らなくても、みんながおまえたちを祝福してるぜ。だから安心して元に戻りな」

ありがとうございます、と言って慶太くんと華英ちゃんは手をつないで、そのまま元々座っていた場所に戻った。

 「はーい、この際、私たちからも報告があります!」

すると、なぎさちゃんが挙手して立ち上がるとしょうくんのほうを見た。「翔、ほら」と小声で呼ばれて、「え、俺たちも今?」と苦笑いしながら翔くんは渚ちゃんの後を付いて歩いて、前に出た。


「えーと、実は私たちも、ちょうど一か月前からお付き合いしています!」


渚ちゃんが堂々と宣言すると、翔くんは照れを隠しているようで隠しきれていない表情をして、こう言った。

「ということで、渚と俺も温かく見守ってやってください!じゃ、戻るよ、渚!」

渚ちゃんの手を引っ張りながら、翔くんはそそくさともと座っていた場所へ戻った。再び、部屋中に拍手が響き渡った。

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