第6章 思いと思い、アンサンブルな予感
チャンスは今しかない!
第47話
吹奏楽部幹部の2回生たちの前で「3回生の幹部でアンクラに直接交渉してくる」と遼弥くんが言ってから週が明け、月曜日になった。
「じゃあ、そろそろ行くか。
「おやおや、君たちもアンクラに入部希望なのですか?それなら大歓迎ですよ」
その発言に遼弥くんは目つきがより鋭くなって、はっきりとこう返した。
「何がアンクラに入部希望、ですか。僕たちは吹奏楽部の活動を守るためにあなた方に直接交渉に来たのですよ。あなたが
「ああ、そうです、僕がアンクラ主将の首藤です。吹奏楽部さんには、うちの子たちが大変お世話になりましたねえ。松前くんはじめ、皆さんのことも聞いてますよ。でも、もう大丈夫です。これからは僕たちも吹奏楽を演奏しますから、うちの子たちがわざわざ吹奏楽部さんにいる必要もなくなるのです」
首藤さんは扉から出てきて、どこか余裕たっぷりな態度でこちらを挑発してくるように私たちを見下ろしながら言った。
「どこが大丈夫なんですか!それじゃあ僕たちが大丈夫じゃなくなるんですから!」
挑発に乗ってより強く返答した遼弥くんを、
「あの…首藤さん、それってアンクラさんも吹奏楽を演奏したいってこと、ですよね?だったら…なんで私たち、吹奏楽部と一緒にしよう、もう一度吹奏楽部とアンクラさんが一つのサークルになろう、って思わなかったんですか?」
すると首藤さんはさっきまでの態度とは打って変わって、答えを詰まらせて「それは…その…えっと…」とおどおどし始めた。
「…ここで立って話すより、僕たちの部室で話しませんか、首藤さん?」
「おまえ…
「うん、僕、本当はアンクラの幹部だったんだけど、みんなが一斉に吹奏楽部へ行くってときにスパイとしておまえも行けって首藤から言われて…なんかごめん!」
「いや、坪内がスパイなのは俺たちとっくに気付いてたからな?とにかく、行こうぜ」
何をいまさら、という表情で遼弥くんが言うと、私たちは再びエレベーターに乗って1階に降り、吹奏楽部の部室へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます