第5章 気が気でならない、胸騒ぎな予感
新歓合戦、開幕
第39話
「それでは、吹奏楽部の皆さん、よろしくお願いします!」
司会の漫才研究部の男性がそう言うと、
「こんにちは!私たちは吹奏楽部です。新入生の皆さん、いよいよ始まった大学生活、どんな風にエンジョイしたいですか~?友達も作りたいし、今の曲みたいに恋も始めたいですよね!?実際、先輩カップルもいますしね、吹奏楽部!」
言いながら後ろを振り返った穂香ちゃんに、私たちはかすかに笑った。それから穂香ちゃんは私たちの活動について簡単に紹介して、新入生を歓迎するお花見の告知をすると、再びタクトを持って振り始めた。
こうして幕を開けた新年度と新歓活動だけど、実は吹奏楽部には、入学したばかりの1回生よりも先に6人もの新入部員を迎えていた。それも、6人全員が卒業式と入学式にアンクラから賛助で来てくれたメンバーだった。そこには「時々、こうして吹奏楽部さんにお邪魔したいなって思うのですが…迷惑ですか?」と言っていたフルートの
「疑っちゃ悪いけど、一度に6人もアンクラを辞めて吹奏楽のほうに来るって、どこか怪しくないか?」
「愛佳ちゃんも含めて、心から楽しんで来てくれたなって分かる人もいるよね。だけど…アンクラからのスパイもいそうな気がする、なんとなくだけど」
私の発言に
「だから、誰がスパイなのか見極める必要があるんだけど、同じ元アンクラ部員である以上は本当に吹奏楽をしたくて来てくれた人もスパイとのつながりがゼロではないからね。そこが難しいところだね」
「ねえ、これから新歓活動期に入るよね。6人の新入部員たちもだけど、アンクラの新歓活動のほうにも目を配っとく必要があると思うな、私は」
「それはアンクラのほうも同じだろうな。俺たち吹奏楽部がどんな新歓活動をするのか、アンクラも注目してる…つまり、互いが互いの様子を窺うような新歓活動になりそうだぜ。とにかく、今後もアンクラには要注意しておこうな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます