眩しすぎて日焼けしそう
第21話
「吹奏楽部のみなさん、ありがとうございました!」
学園祭のオープニングステージでの演奏を終えて、私たちは練習場とは別にある吹奏楽部の部室に戻った。気が付けば、もう学園祭1日目を迎えていた。これからの演奏は明日の2日目に集中しているので、吹奏楽部ではバザーに屋台を出すのを今日だけにすることにした。バザーは11時から17時までの6時間で、10人を5人ずつの2班に分けて1時間半で交代するシフトを組んだ。責任者である私の権限で自分を
さしあたり私の班は11時から一度目のシフトが入っていた。タコ焼き器にタコ焼きとホットケーキの生地をそれぞれ流して火が通るのを待ちながら、遼弥くんが口を開いた。
「実梨が化粧教えたせいで、
「そりゃそうだぜ。おかげで俺が奏に惚れ込んでしまったぜ。てことで、実梨、責任とってくれ!」
「ど、どうやって?」
私からの問いかけに、遼弥くんはイヒヒ、と私の耳元にこっそり答えた。
「俺と奏の恋愛成就に協力してくれ!」
ええー、と言っていると、続けて遼弥くんはこうささやいてきた。
「もちろん、俺からも実梨の恋に協力するからよ!」
そう言われて私は、それなら、と引き受ける返事をした。ああ、まんまと遼弥くんの思い通りにはまってしまった。遼弥くんはますますにやけてしまった。
「これで交渉成立だぜ。続きは後でな、実梨!」
それにしても、奏ちゃんと遼弥くんが私の恋を応援してくれていて、私がそんな2人の恋に協力する、か。具体的に何すればいいのだろう?
12時半になり、葵くんたちの班と交代するとすぐに、私は遼弥くんに呼び出されて建物の裏で人通りの少ない場所に来た。そして遼弥くんはこう切り出してきた。
「さっきの話の続きだけどな、まず明日、バザー開始から演奏前の集合時間まで1時間半でダブルデートしようぜ!」
「それって、遼弥くんと奏ちゃん、葵くんと私、の4人でってことよね。それはすごくいいアイデアだけど、でも…華英ちゃんに先越されてないかな?」
遼弥くんの提案に、私は不安になった。すると遼弥くんは、胸を張って言った。
「それは心配ないぜ、実梨。一昨日のうちに葵を俺から誘って約束しているんだ。そこは大丈夫だから、あとは実梨から奏を誘ってくれればいいだけだぜ!ってことでよろしくな、実梨!」
遼弥くん、仕事が早いなあ。ホッとして、私は遼弥くんの頼みを引き受けた。
「それならまかせて!ありがとう、遼弥くん」
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