第6話
「そろそろいいかな。じゃあまず1回生から、ってことで
はい、と元気よく答えた渚ちゃんが立ち上がった。
「えっと、何日も練習を休んですみませんでした。そして、このような話し合いの場をもう一度開いてもらってありがとうございます。私は、とにかく吹奏楽というものが演奏出来ればいいと思ってます。編成の大小にはあまりこだわってません。そのかわり、吹奏楽が最低限成り立つくらいの人数…20人くらいはいてほしい、というのが正直なところです。だから、賛助を呼ばずに私たちだけで演奏会をするというのは、ちょっと寂しいです。それなら賛助を呼んだほうがいいのかな、と私は思います。以上です」
「なるほど。渚ちゃんは賛助を呼んだほうがいいと思ってるんだね、分かりました。次、
遼弥くんに指名されて、美空ちゃんが話し始めた。
「先日は、突然退部するって言って騒がせてすみませんでした。でも、やっぱりこの吹奏楽部に残らせてください。私はみなさんが大好きです。ただ、本当は大編成の吹奏楽がやりたいです。でも、一般の市民楽団は毎年夏のコンクールに出てるところばかりで、私はコンクールのない吹奏楽がしたかったんです。だから、今できることをしつつも、この間のときに葵先輩が言ってくれたような部員を増やすために何ができるか、ってことをしてほしいと思います。なので、賛助は無理に呼ばなくてもいいという考えには、やっぱり賛成です」
美空ちゃんが話し終えるのを見て、遼弥くんは入部したばかりの
「えっと、初めまして、の方もいらっしゃいますね。自己紹介からさせてください。経営学科1回生、パーカッションで入部した
「ふむ、紗絢ちゃんは演奏する曲次第で賛助を考える、という意見なんだね。じゃあ2回生、
2回生の番になった。でも遼弥くんに当てられたのが奏ちゃんからで良かった、と私は内心ほっとした。
「えっと、私もずっと練習休んですみませんでした。私は、演奏面はさておき、単純に仲間…部員が多いほうが嬉しいです。できるだけ多くの人と、吹奏楽を演奏できる喜びを味わって共有したいです。みんなにはここにいてくれてありがとうって気持ちでいっぱいだけど、9人じゃあ寂しいです。ただ、演奏会に賛助を呼ぶかって話になれば、やっぱり普段から一緒に活動している仲間と演奏会したほうが楽しいと思うので、賛助は呼ばなくてもいいです」
ああ、奏ちゃん、もっと話しててもいいのに。
「奏も、賛助は呼ばなくていいって意見には賛成、と。じゃああと2人だけど…」
お願いだから、
「…レディーファーストってことで、
こんなときだけレディーファーストじゃなくてもいいじゃん、と思いつつ、私は立ち上がった。一息おいて、私は声を出そうとした。すると、それより先に、部屋の扉が開いた。そして、失礼します、という声が聞こえた。遼弥くんが、扉のほうへ向かった。突然のことに驚きつつも、私はなんとなく救われたような気分になった。遼弥くんが何か外の人と話していた後、遼弥くんは扉を開けた女性と一緒に戻ってきた。
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