怪物妹豊胸記(後)

 

 

 姉のことが大好きだった。

 綺麗で、優しくて、ちょっぴり抜けてて、とても強い。

 昔から尊敬していたし、姉のようになりたいと思っていた。

 

 でも。

 姉に対して一番強い思いは何かというと。

 

 それは親愛や尊敬などとはかけ離れていた。

 

 罪悪感だった。

 

 

 

 生まれが少々特殊なこともあり、自分たち姉妹はまっとうな生活は期待できなかった。

 でも、自分は7つになるまで、普通の女の子と何一つ変わりない生活を送ることができていた。

 それは、姉が犠牲になってくれたから。

 妹の分も頑張ると、村の諜報員養成課程に自ら志願していたそうだ。

 親や親戚もいない、助けてくれる者もいない姉妹が、不自由なく生活するできたのは。

 姉が、自らを犠牲にしていたからだった。

 

 私がそれを知ったのは7つのとき。

 生活環境からか、早熟だった私は姉に対して罪悪感を覚えてしまった。

 それは私の心を蝕み、姉と顔を合わせることすら辛くさせた。

 

 そんな罪悪感から逃れるため。

 私は――私も、諜報員養成課程に志願した。

 

 

 

 それから7年。

 血反吐を撒き散らす辛い訓練にも慣れてきて。

 

 でも、姉と顔を合わせるたび。

 罪悪感から、逃れられなかった。

 

 姉が私のために身を削っていたのは過去のこと。

 今は立場も対等だし、自分も少なからず姉のことを助けているはず。

 だから、負い目を抱く必要はないし、大好きな姉に堂々と胸を張ればいい。

 なのに。

 

 

 どうして私は。

 心苦しさなんて、覚えているのか。

 

 

 

 

 

 

 

 夜の海岸にて。

 セツノは、混乱していた。

 

 泥棒猫、と言われてしまった。

 私、猫さん?

 猫耳なんて生えていないのに。

 ごろにゃん、と鳴いたりしないのに。

 

 だいたい、私が、何を盗んだというのか。

 

 いきなり砂浜で出会った女性の手荷物を意味もなく拝借するほど落ちぶれてはいない。

 さりとて、以前に目の前の女性と会った記憶もなければ、物を盗んだ記憶もない。

 では、何故、泥棒猫だなんて言われなければならないのか。

 

 話の流れを思い出してみる。

 

 恋愛相談→何故か相手の男の名前を確認される→いきなり泥棒猫。

 

 はて。

 これでは、まるで――

 

「……お姉さん、おに――ユウキさんのこと、知ってるんですか?」

 

 恐る恐る、訊ねてみると。

 

「知ってるも何も、ボクとユウキは5年来の深い仲だよ」

 

 えへん、と薄い胸を張って答えてきた。

 

 やばい。

 かなりやばい。

 

 知らない人だと思って色々喋ってしまったが、まさかユウキの知り合いだったとは。

 不幸中の幸いか、村関係の重要な情報は漏らしていない。

 が、それでもユウキに対する想いは知られてしまった。

 噂になってしまったらどうしよう。

 ユウキが弁当の蓋を開くたび、同僚が興味深げに覗き込んできたり。

「それって噂の可愛い彼女が作ったんですか」って言われてユウキが慌てたりだとか。

 いつの間にか職場ではセツノが彼女ということが定説になっていたりだとか。

 で、「もう皆を誤魔化すのは無理だ。いっそのことセツノちゃん、僕と(以下自主規制)

 やだ、お兄さんったら……そ、そんなことまで……恥ずかしい!

 でもお兄さんが相手なら、嫌じゃないし……むしろ、私……頑張る……!

 

「……ちょっと、キミ、何ニヤニヤしてるのよ?」

 

 いけない。頬が緩んでしまっていた模様。

 

 頭をぶんぶんと振って、邪な考えを振り払う。

 ……この妄想の続きは、寝る前に布団の中ですることにして。

 とりあえずは、目の前の問題である。

 

「……泥棒猫って、どういうことですか。

 お姉さんは、別にユウキさんと付き合ってたってわけじゃありませんよね?」

「う。……それはー、確かにー、そうだけどー……。

 でもでも、私の方がユウキと長い付き合いなんだから、優先権はこっちにあると思うんだけど!」

「……長い付き合いなのに、一線を越えたことはないんですか?」

「ぐは!? ……なにげにキツイね、キミ」

「人のことを泥棒猫って言う人に言われたくありません」

「ま、まあそれはそれとして!

 横からかっさらわれて黙りっ放しってのは、ボクの性に合わないんだいっ!」

 

 ずびし、とセツノのことを指さして。

 

「ボクと――サラ・フルムーンと勝負しなさい!

 で、ボクが勝ったら、ユウキからは手を引いて!」

 

 そう、言ってきた。

 というか、付き合っているのは自分ではなく姉なのだが。

 

「……ん? サラ?」

 

 どこかで、聞いた覚えがある。

 確か――そうだ、ユウキの同僚で、そんな感じの名前の人がいたはずだ。

 ユウキ的にはそれなりに仲良くしている相手らしく、姉のブラックリストに載っていたはずだ。

 ……そうか、この人だったのか。

 姉ほどではないが、目鼻も整っているし、快活で気さくな美女である。

 こんな人と、一緒に仕事してるんだ……。

 ちくり、と何故か胸の奥が痛んでしまう。

 

「……勝負って、何をするんですか?」

 

 しかし、敢えて痛みを無視し、セツノはそう訊ねることにした。

 武器を用いた格闘や、語学力の勝負だったら自信はあるのだが。

(……って、勝負することを前提に考えてどうするのよ私)

 サラがユウキを賭けて自分と勝負をするのは間違っている。

 勝負するとすれば、その相手は姉のはずだ。

 

(……私は、そもそも、対象外なんだし……)

 

 そう思うと、目の前の女性が羨ましくなる。

 別にユウキと特別な仲ではないのだろうが、

 

 それでも、ユウキを巡って、姉と同じ土俵に立つことができる。

 すごく、羨ましかった。

 

 この人は、姉と対等になれるのだ。

 別に特殊な訓練を受けているわけでもなく、特異な才能があるわけでもないのに。

 私と違って。

 姉と、向き合うことができるのだ。

 

 私とこの人の、何処が違うというのだろうか。

 

 

 

 

 

 

「勝負方法は……えっと……」

 

 サラは、悩んでいた。

 おもむろに「勝負!」と挑んでみたものの、何で勝負するのかまでは考えていなかった。

 というか、マジでどうしよう。

 

(私が勝てそうなものといったら……何だろう?)

 

 料理はダメだ。あのお弁当を見る限り、逆立ちしたって勝ち目はない。

 学問はどうだろう。自信はあるが、年下の女の子にそれで挑みかかるのはちょっとアレだ。

 ならば喧嘩の基本、徒手格闘は――

 

(……こーゆー荒々しい考え方だから、武闘派とか言われちゃうんだよね……)

 

 ちょっぴり悲しくなってきた。

 まあそれはそれとして。

 徒手格闘は、少し危うい気がする。

 目の前の少女、見た目は可憐な美少女だけど――その立ち居振る舞いが、妙にしっかりしている。

 隙がないのだ。そこに打ち込めば勝てる、という確信が欠片も得られない。

 

 では、どうすればいいのだろうか。

 公平であり、勝つ自信があるもの。

 

(どれだけユウキのことが好きか……これなら、勝てるかも。

 学院にいたころだって、ユウキのことを溺愛してた先輩と、何とか張り合ってたわけだし)

 

 これだ。

 これしかない。

 どうやって比べるのか、とか、そんな細かいことはどうでもいい。

 ユウキのことが好きだという気持ち。

 これだけは、決して、負けてはいけないものなのだから。

 

 だから。

 気付いたときには、こう叫んでいた。

 

「どっちの方が、ユウキのことが好きか、勝負よ!」

 

 冷静に考えてみれば。

 勝負のしようがない、素っ頓狂な提案だったが。

 何故か少女は、はっとしたように顔を上げて、こちらを呆然と見つめていた。

 

 ……あ、あれ?

 その反応は予想外というか……。

 何故に、泣きそうな顔をしているのかな、このお嬢さんは?

 

 

 

 

 

 

 ――ユウキのことが好きか。

 

 それを聞いたとき、がつん、と頭を殴られたような気がした。

 ……自分は、ユウキのことをどう思っているのか。

 姉の恋人?

 姉の協力者?

 姉の理解者?

 色々なものが浮かんでくる。

 しかしそれらの頭には、全て“姉の”が付いている。

 姉の関係者としてならば、ユウキは非常に貴重な存在だろう。

 それは否定する気など無いし、できればずっと姉と関わっていて欲しいとも思う。

 姉が大事に思っている人なのだから、素敵な人なのは当然だし、悪い人のはずがない。

 そう、思っていた。

 あくまでユウキとの関係は姉あってのものであり、彼のことを姉の関係者としてしか見ていなかった。

 ならば。

 姉のことを考えずに。

 セツノ・ヒトヒラ個人として。

 ユウキ・メイラーのことを、どう思っているのだろうか。

 

 ――思い出すのは、昼間の気持ち。

 

 素敵ですね、と褒めてくれた。

 とても、嬉しかった。

 顔を合わせられないくらい嬉しくて、海の中でばしゃばしゃと暴れてしまった。

 あの気持ちは、本物だ。

 ユウキに褒めて貰うと、嬉しい。

 もっと褒めてもらいたい。

 褒めてもらうために、色々なことをしてみたい。

 

 これって、“好き”でいいのかな?

 

 だとしたら、自分は間違いなく、ユウキのことが好きである。

 ユウキのために美味しいご飯を作りたいし、それを褒めてもらいたい。

 ユウキに自分の可愛い姿を見て欲しいし、やっぱりそれも褒めてもらいたい。

 この気持ちは紛れもない本物だし、我慢するのもきっと無理。

 

 ――でも、ユウキは姉の恋人。

 

 だから、自分は譲るべき。

 譲る? 何を?

 この気持ちを、我慢する――

 

 ――そんなの、イヤだ。

 

 一度意識してしまえば、もう止めることは不可能だ。

 

(私は、お兄さんのことが、好き)

 

 きっと、“好き”という気持ちだけなら。

 自分は、姉には負けていない。

 なのに、なんで、譲らなければならないのか。

 

 

 それは、姉に対して、罪悪感があるから。

 自分は、姉に負い目があるから、できるだけ、姉に譲らなければ。

 姉は、自分のために頑張っていたのだから、自分も、その分、頑張らないと。

 姉のために。姉のために。姉のために。大好きな、姉のために――

 

 

 本当に?

 

 

 姉のために諜報員を目指して。

 姉のために好きな人を諦める。

 

 

 嘘だ。

 

 

“姉のため”?

 なんて都合のいい言葉だろう。

 それをくっつけるだけで、

 

 全部、姉のせいになってしまう。

 

 諜報員になるために、味わう全ての苦痛は、姉のせい。

 好きな人への想いを押さえ込まなければならないのも、姉のせい。

 

 なに、それ。

 姉のことが大好きなくせに。

 全部、姉のせいにしていた。

 

 最低だ。

 責任転嫁も甚だしい。

 

 諜報員を目指したのは、姉と離れたくなかったから。

 姉が特殊な境遇に身を窶しているのを知った幼い自分。

 そのとき覚えたのは罪悪感なんかじゃない。

 

 ――姉に置いてけぼりにされたような、孤独感。

 

 大好きな姉と、同じ道を歩みたかったから。

 大好きな姉と、ずっと一緒にいたかったから。

 だから、諜報員を目指したのだ。

 

 でも、訓練は辛く苦しくて。

 それを、姉のためと自分に言い聞かせることで、乗り越えてた。

 本当は姉と一緒にいたかったからなのに。

 姉のため、と嘘を吐いて、ただ姉にすがっていただけ。

 

 セツノは、自分が抱き続けてきた罪悪感の正体に、気付いた。

 

 それは、姉が諜報員への道を選んだことに対してではなく。

 自分が、ずっと姉を“言い訳”にしてきたことに対してだった。

 

 ユウキのこともそうだ。

 彼への想いを露わにして、それが原因で避けられるのが怖かった。

 だから、ただ尽くすだけで、彼は姉のものと自分に言い聞かせていた。

 姉のせいで、自分は素直になれないのだと思おうとしていた。

 こんなの、ずるい。

 

 自分は自分。

 姉は姉。

 そんなことにすら気付かずに、ここまで来てしまっていた。

 

 ――改めて、自分に問いかけてみる。

 

 ユウキさんのことは、好き?

 ……うん。好き。大好き。優しいし、暖かい。できれば、ずっと一緒にいたい。

 姉さんのことは?

 ……姉さんのことも、好き。でも――

 でも?

 ……姉さんにだって、ユウキさんは、渡したく、ない。

 なら、どうするの?

 ……私も、戦う。私と姉さん、どっちも条件は同じだもん。

 

 私だって、同じ土俵で、戦えるんだから。

 姉さんと、向かい合っていけるんだから。

 

 もう、的外れの罪悪感なんて覚えない。

 姉のせいにはしない。

 全部自分で背負う覚悟をして。

 ――今の気持ちを、貫こう。

 

 私は、ユウキさんのことが、好き。

 この気持ちは、誰にも負けない。

 

「わかりました。その勝負、受けます」

 

 だから。

 サラの申し出に対し。

 セツノは、決意を秘めた表情で。

 そう、答えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユメカとの3回戦も終わり、ユウキは気怠い満足感に身を浸していた。

 と。

「……?」

 何やら、廊下の方が騒がしい。

 どたどたどた、と慌ただしい足音が聞こえてくる。

 それは、だんだんこちらに近付いてくる――と思ったら。

 

 ばん、と勢いよく扉が開け放たれた。

 

 全裸になっていたユウキは短い悲鳴を上げ、慌ててシーツを体に巻き付けた。

 扉の方に視線を向けると、そこには。

「せ、セツノちゃん!?」

 そこには、何やら決意したような表情の、セツノがいた。

 セツノは、ユウキの鎖骨や首筋を見て少々赤面した後、視線を逸らすようにユメカを見据える。

 

「――姉さん!」

 

 その声は。

 いつものセツノのものとは異なり、強い意志を感じさせた。

 

 それに何か感じるところがあったのか、ユメカは真剣な表情でセツノを見返す。

「どうしたの、セっちゃん」

「姉さんに、言いたいことがあるの」

「……相談事、じゃないよね」

「うん。もう、私、我慢しないことにしたから」

 

 そして、セツノは再びユウキに視線を向ける。

 何故かその頬が赤く染まる。しかし、視線は逸らされない。

 

 

「私――お兄さんのことが、好き!」

 

 

「「……え?」」

 ユウキとユメカの、呆然とした声が同時に響いた。

 

 

「姉さんがお兄さんのこと好きなのはわかってる!

 でも、私だって、好きなの! 大好きなの! だから――」

「だ、ダメダメダメっ! ユウキさんは私のなんだからね!

 セっちゃんにはあげません! ダメです! 禁漁区域です!」

 

 慌ててユウキを隠すように間に入るユメカ。

 しかし、セツノは怯まない。

 もう、決めたのだから。姉と、対等になる、と。

 

「そんなのずるい! ――お兄さんは私のこと、嫌いじゃないですよね……?」

「へ? そ、それは当たり前ですが――痛ッ!?」

「ユ・ウ・キ・さ・ん? ユウキさんは私の方がいいですよねー?」

「痛い! つ、潰れちゃ、あふぅ!?」

「ちょ、姉さん、脅すの禁止! 握りしめるの禁止!」

「禁止じゃありませーん! これは私のー!

 どうすれば気持ちよくなるかも、私が一番知ってるんだから!」

「あ、ちょ、揉まな、いで……」

 

「それじゃーユウキさん! これから4回戦です!

 一緒にいっぱい、気持ちよくなりましょうねー。……ふふ、もう硬くなってきた」

 

 シーツの内側でもぞもぞと蠢くユメカの手。

 その主は、己の勝利を確信して、にまにまと笑みを浮かべていた。

 

「というわけで、これから私たちは愛の営みをするの。

 だから、お子様は席を外して――」

 

 しかし、その笑みは、すぐに驚愕で打ち消されることになる。

 

「ちょ、セツノちゃん!?」

 ユウキが驚きの悲鳴を上げる。

「せ、セっちゃん!?」

 同じくユメカも、信じられないものを見る目で、己の妹を見つめていた。

 

 セツノが、服を、脱いでいた。

  

「わ、私だって、私だって!」

 声は震えていて、目は涙がにじみ、頬は紅潮していた。

 下着がはらりと床に落ちる。

 一部を手で隠しただけ。煽情的な姿で姉とその恋人に向かい合う。

「お兄さんのこと、きもちよくできるんだから!」

 

 やばい、とユウキは思った。

 セツノは本気だ。下手に刺激したら、取り返しの付かないことになってしまう。

 兎に角この場は無難に収めて、事態の沈静化を図らねば――

 

「わ、わかりました、セツノちゃんの気持ちは伝わりましたから、だから」

 服を着てください、と言おうとしたところで。

 

「ぜっっっっっったいに、ダメーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」

 

 空気を読めない姉が、大絶叫をかましていた。

 

「ダメじゃない! 姉さんこそずるいよ! ずっとお兄さんを独占して!」

「ずるくないもん! ユウキさんは私のだもん! だから、えっちなこといっぱいしてもいいんだもん!」

「姉さんのだなんて決まってない! ――だから、私がしたっていいはずだよ!」

 

 言うなり。

 セツノは、2人の間に飛び込んできた。

 

 その表情に憂いは欠片も含まれておらず。

 姉と対等に張り合える喜びに、溢れていた。

 

 ふよん、と柔らかい感触がユウキの素肌に押しつけられる。

 

「――むー! それならセっちゃん! 勝負よ!」

「望むところ! 姉さん、話がわかる!」

 

「え? ちょっと待ってください。勝負って――」

 

 

「「どっちの方が気持ちよくさせられるか、勝負!」」

 

 

 姉妹の声が重なった。

 後はそのまま雪崩の如く。

 2人の美少女が、ユウキの体に襲いかかる。

 

 

「そんな、こ、これじゃあ、に、2倍ーッ!?」

 

 

 ユウキの悲鳴が、宿に響いた。

 その後どうなったのかは、神のみぞ知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えーと?」

 

 深夜の砂浜にて。

 わけもわからず呆然としていたサラは、夜風に肩を震わせる。

 先程勝負を挑んだ少女は、もういない。

 おもむろに「決戦を仕掛けてきます!」と宣言し、そのまま走り去ってしまっていた。

 もし彼女が戻ってきたら、どんな勝負方法にすべきだろうか。

 などと考えながら、ぼんやりと夜の海を眺めていた。

 

 重い溜息を吐いて、サラは砂浜に腰を下ろす。

 もう30分待って戻ってこなかったら、部屋に戻ろう。

 波の音が、サラを優しく包んでいた。

 

「――あの子、どこ行ったのかなあ」

 

 

 

 強姦してるだなんて、一体誰が想像しようか。

 

 

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