第36話(書きかけです) 麗しの儀鬼

「どうやって? 新米の鬼君がザパーフェクト陰陽師の僕よりもふさわしいって証明できるの?」

「いや、まだ何も考えていない。そもそもこの世界のルールを知らねえし」

「空也。私はお前のそういう単純なところは嫌いじゃないが、馬鹿なところはすごくムカつく」


 未妙が言う。

 俺は思わず、「なんで味方したい相手からむかつかれるの?」と言ってしまう。

 短い間とはいえ一緒に過ごすことで、それなりに未妙の性格を理解していたつもりだし、妥当な発言の気もしたが、今は言わなくてもいいんじゃないかと思ってしまった。


「コンビネーションに関しては、悪くないみたいだね」


 七条が勝手に満足げな笑みを浮かべる。それからポスターのすき間にかかっていた杉山少女倶楽部の掛け時計に目を向けて、よっこいしょと立ち上がった。


「素敵なことにね。今日、別件で来る儀鬼がいるんだ。その子には、割のいいあやかし案件を紹介する予定だったんだけど、やめた。もっと素敵なイベントを思いついたよ」


 七条はそう言うとドアに目を向けた。

 同時に、がちゃりとドアノブの開く音とともに、二十代半ばと思われる女性が入ってきた。

 ショートカットに整った顔立ち。ナチュラル系のメイクをしているのに、服装はキャミソールとホットパンツという露出度の多いいでたちをしている。

 秋葉原というよりも、湘南でサーファーたちを手玉に取っていそうな雰囲気の人だった。

 彼女は俺たち三人を見ると、そっと一歩後ろに下がりながら聞いた。


「三角関係? 修羅場? 修羅場?」

「この恋愛脳が」

「待っていたよ。愛華さん」


 未妙がうんざりした顔をし、七条がにこりと笑った。

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鬼の名を呼べ ー世界の片隅で、君を守るー 上間英 @uema_ei

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