置いていく
上の階の子供がうるさい。夜遅くになってもどたばたと、室内を跳ね回って絶え間ない。
管理人を通して注意をしてもらったのだが、一向に改まらなかった。
腹に据え兼ねて直接部屋に乗り込むと、住人は大人しそうな女性だった。
彼女はこちらの訴えに何とも言えない顔をして、
「うちに子供はいません。もういません」
半信半疑で中を覗かせてもらったが、そこには女性一人の暮らしがあるばかりだった。
子供の気配はどこにもなく、釈然としないまま頭を下げて退散した。
後日、その女性が夜逃げをしたと聞いた。
行く先の手がかりはまるでなく、ただ部屋には使い込まれてくたびれた、数十個のランドセルが置き去りにされていたという。
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