研磨

 昔、あなたは言ってくれたよね。「いつでも俺を頼れ」って。わたし、凄く嬉しかったよ。

 あの時のあなたの気持ちも、今ならよく分かるんだ。

 好きな人に頼ってもらえるのって、嬉しいんだね。


 大丈夫、安心して。

 手も足も動かなくて、口もきけなくて、自分じゃ何一つ出来なくなって。

 そんな、もう皆から見捨てられちゃったあなただけど、わたしだけは側にいるから。いつまでも、側にいてあげるから。


 嬉しい? 嬉しいよね。

 うん、大丈夫。心配しないで。ちゃんと伝わってるから。あなたの考える事なら、わたしは全部お見通しだよ。目を見ればちゃんと分かっちゃうんだから。

 あなたは今、わたしの為の形になってる。わたしの為だけの形になってる。

 きっとなくしてしまったものなんて、本当は初めから要らないものだったんだよ。



 だから、ね?

 いつでもわたしを頼ってね。

 一生、わたしを頼ってね。

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