底抜け

 夕食を作るのが面倒だったので、コンビニで弁当とペットボトルのお茶を買って来た。

 家に帰って粗食を終えて、残りを干そうと飲みさしのペットボトルを手に取る。

 途端、緑茶がわっと卓上に零れた。ペットボトルの底が、突然抜けたかのような有様だった。幸い中身はもう少量だったから、そこまで酷い事にはならなかった。


 テーブルと床を拭いてから、ペットボトルの底をとっくり眺めた。しかし抜けているどころか、中身が零れるような穴すらも見当たらない。

 試しに水を入れてみる。

 容器は約500ミリリットルの水道水を飲み込んで、けれど少しも漏らさずに、涼しい顔のままでいた。

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