垂れ下がる
暑いなと空を仰いだ。快晴の夏空だった。
ハンカチで汗を拭った時、視界の隅に何か違和感を覚えた。
目を戻すと、マンションの4、5階だろうか、ベランダから何か黒茶けたものが垂れ下がっている。
布団干しのようではあるが、布団ではない。
もっと毛皮っぽい、ふかふか、もふもふとしたものだ。
しかし、ならば何であるのかと問われれば言葉がない。一部屋分のベランダ全部を覆うような大きさのそのふかもふは、風もないのにゆらゆらと揺れている。
ベランダには誰の姿も現れなかったから、そのもふふかが自分の意思で動いて戻ったとしか思えなかった。
何故だかふっと、『狸の八畳敷き』という言葉が浮かんだ。
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