引っ張る
バイト先のゲームセンターの階段は、よく人が転げ落ちる階段だった。
割合と傾斜の急な造りだから、段の全てにに滑り防止のゴムがついている。転倒事故の発生は空模様を問わずで、だから濡れて滑りやすくなる場所だった、という訳でもない。
それなのによく人が落ちて怪我をした。
勿論踊り場だってちゃんとあるし、そもそもそこは人がすれ違うのがやっとなくらいに通路の幅が狭い。もし足を滑らせたにしても、手足を突っ張ればすぐ止まれるはずだ。
なのに落ちる人は必ず、下の階まで一息に落ちた。
そして口を揃えて、「何か引っ張られて止まれなかった」と言う。
不可解な話だった。
今もそのゲームセンターは営業している。
バイトはもう辞めてしまったので、まだ落ちる人がいるのかどうかは判らない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます