第六十二話『水遁の術』

「それは・・・まずいな」

ライオンはケロケロさんのスキルを聞いてそう言った。


===

「まずいってなんで?ってうわー!!!!」

私は質問と同時に叫ぶ。

ケロケロさんの新しいスキル。水遁、洪水の術の発動の瞬間にライオンは危険なことを察知したが、その瞬間私にもわかった。


洪水が起きて私の足が地面から離れたのだ。

軽い浮遊状態になった。


「こうなるからだ」

ライオンは冷静にそう言った。

そんな中でも洪水は激しさを増す。

どんどん水嵩がまして言って、もう私は体の自由が奪われていた。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁあ、私泳げないぃぃぃぃぃ」

私が叫びながら慌てふためく。

そう、私は泳げないのだった。

女子高生の時点で泳げなかったし、四つ足になったヤギの今ではさらにどう泳ぐのかわからない!ヤギってそもそも泳げるのかしら!!


「ああ、やっぱり!」

へびくんが言う。

それはいったい・・・

私がカナヅチっぽい顔をしていたってことかしら、カナヅチっぽい顔ってなにぃぃぃぃぃ!


「うわぁぁぁぁぁぁ」

私は叫ぶ。

どんどん水嵩は増して、私は水流に身を任せていた。

この部屋いっぱいに水が溜まってきている。

ケロケロさんはその水面より上の壁に足をくっつけている。


「これは、なかなかすごい技だな」

ライオンが冷静に言う。

このスキルはケロケロさんが突然、台風のようなものを発生させて、この部屋一つ分を水で満たしている。確かにとんでもないスキルなのだった。


「あばばばば、ぜんぜんおよげないぃぃぃ」

私は水に顔が浸かりながらなんとか、話す。

しかし、これはなかなか危険だ。

窒息しちゃうかもしれない!こわい!やばい!きけん!


「これは、思っているよりずっとやばいな」

ライオンが言う。

へびくんとライオンはなんとか、水の上に顔を出して呼吸しながら話をしているが、私は潜ったり出たりしている。


「へび!」

ライオンはへびくんに合図する。


「蛇毒 - ポイズン」

へびくんはスキルを発動させて、ぴゅっと毒をケロケロさんことニンジャフロッグさんに向けて放った。

一瞬でライオンの意図を汲んだらしい。


「当たらないケロ!」

ケロケロさんはぴょんとカペをジャンプして避けた。

へびくんのポイズンは破壊力は強いがそんなにスピードはない、ケロケロさんの機動力があれば避けられてしまう。


「当たらないか、これはいよいよピンチだな」

ライオンが言う。


「水で機動力が落ちて、こちらからは通常攻撃できない。ぼくのポイズンも当たらない」

へびくんも分析する。


「向こうからきてくれて、へびが噛みつければ、毒で倒せるかもしれないが、あいつ明らかにカエルだし、水中で攻撃されたら、分があるとは思えないな」

ライオンが言う。


「ケロケロ!これは勝ったケロね!」

ケロケロさんは嬉しそうに言った。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る