第四十八話『反復横跳び』

「めずらしくやる気出してる!」

私はライオンに言った!

そう、普段はまったくやる気のないライオン。

彼の趣味はよくわからない。


「敵はヘラクレスオオカブト、相手にとって不足なし」

ライオンは珍しく少しテンション上げているようだった。

カブトムシに大きな興味があるのだった。

むかし集めてたのかしら。むかしっていつ?


「そこなのね。男子のモチベーションはよくわからないわ!」

私はライオンに突っ込む。

男子はおかしよりおもちゃのほうが大事らしいからよくわからない!

おもちゃよりカカオだわ!


「女子のモチベーションもよくわからないけどね。」

へびくんが冷静に言う。

確かに今回は私のカカオ熱に付き合ってくれている二人。

実はそんなにモチベーション高くないのかもしれない。これがお互いを尊重しているwin - winの関係!いやそれはちょっと違うか! 


「あら、へびくんでもわからないことがあるのね」

私はへびくんに言う。女子を相手にするのになれているへびくんですらそういうふうに思うのね。私は関心する。


「ふふ、そうだね。」

へびくんは笑った。

多くは語らないようだった。


「おい、無駄話してるなよ!くるぞ!」

ライオンが私達二人に注意する。

異性に対する感想はまったく無駄話ではないと私は思うけれども!


「わかってるわよぉぉぉ!どんと来いよ!」

私は江戸っ子感を出して言った。

そう私はキマイラの土台となるヤギ。

私がしっかりしないと全員やられてしまう。

バレーボールでいうレシーバーみたいな役目ね!やったことないけど!


「可憐な女子高生はどこ言っちゃったの」

へびくんは、江戸っ子ヤギちゃんこと私に突っ込んだ。

可憐な女子高生。そんな時期が私にもありました。


「ヤギ、ポジションを正しくとれよ!」

ライオンは私に指示した。

そう、ポジション取りが大事。

向こうは天空から自由に攻撃できる。

こちらはできない。だからこそ位置取りは大事だ。


「さっきの打ち合わせどおりね!任せて!私反復横跳びの成績Sだから!」

私は自信満々に答えた。

ぴょんぴょん飛び跳ねるのは任せて!


「そんな女子高生いるの!」

へびくんが驚いている。

たしかにそんな女子高生あんまりいないか・・・


「「グオォォォォォ」」

ヘラクレスオオカブトがカブトムシらしからぬモンスターのような咆哮で飛び込んでくる。そしてぐっと姿勢を変えた。

ホバリングから前進の体制にかわったようだった。


「きた!」

へびくんが合図する。

今回は私が足で、ライオンが攻撃担当。

へびくんがしっかりタイミングを取る。


「とおおおおおりやぁぁぁぁぁぁ」

私はへびくんの合図を元に大きな声を出しながらダッシュする。

そして当たる直前でジャンプする。


「よっ」

さっと避けた。

これはナイスプレイといえる。

あのヘラクレスオオカブトの攻撃を急にスピードを変えることにより避けたのだ。


相手は上空から攻撃してくる。

しかしその特性ゆえ、一箇所をピンポイントに狙うのだった。

つまりそれをずらせば避けられる!


そして、その避けたところをライオンががぶりと一撃。

そのツノを折ったのだった。


「グオオォォォ」

ツノを折られたヘラクレスオオカブトの咆哮が響いた。

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