第十三話『なるほどですね』

私達のやりとりを遮って妖精くんが言った。


「とりあえず、あそこにある砦にいるボス倒しにいこっか!!」

と、妖精くんは明らかに私怨の目標を私たちに与えた。

素晴らしく、不自然な流れだった。

さすがに強引すぎるぞ、妖精くん!


「それ明らかに私怨だろ」

と、ライオンが妖精くんに問い詰める。

ライオンも気がついたらしい。

さすがに気がつくよね〜それは。


「え、そんなことないよ〜」

と、口笛を吹き出した。


今時そんな、ごまかし方する人いないわよ!!

と私はちょっと可笑しかった。


「妖精くん!!ウソへた!!」

流石にそれは私でもわかる!!

そう簡単に何回も騙されるもんですか!!

私に同じ技は二度通じない!!


「う、うそじゃないよ・・・」

と目をうるうるさせて私に言う。

はっ!やっぱり、これはうそじゃない!!

こんなに純真な目でウソをつける少年はいません!!


さっと振り返って、ライオンたちの方を振り向いた。

「ほら!あなたた・・・!」

と私が言おうとしたら、へびくんに遮られた。


「ヤギちゃん!ちょっと静かにしててくれる?そのくだりもうわかったら」

と『あなたたち子どもをいじめちゃだめよ!』と言おうとしたら、へびくんにたしなめられた。


「それに付き合ってると話が進まねえんだよ」

と気だるそうにライオンが言った。


「妖精も、もうそれやめろ。倍時間がかかる」

とライオンが妖精くんをたしなめる。


「うん、わかった。」

としぶしぶ、妖精くんは従った。

やっぱり嘘だったんかい・・・。


「そこの砦のボスが来てから、かなり窮屈な生活してるんだよね。僕達妖精は」

と説明を始める妖精くん。


「さっき、楽しそうにキャッキャウフフしてなかった?」

とへびくんが聞く。

「そういえばそうだ」

と私も思い出した。その様子をみて、抱きしめようとしたんだった。


「僕たちには結界があるし、いいんだけど、僕らの友達のモンスターたちが結構虐げられててね。たのしい森の生活が台無しなんだよね!」

と妖精くんが言った。


「なるほど、じゃあ、倒してやるよ!」

と、ライオンが気前よく引き受けた。

あれ?あのやる気のないライオンが?


「え?あのライオンがやる気を見せてる!!」

と、私は口に出した。


「うるせえな、どうせ、どんどん倒して行かなきゃ魔王にはなれないんだから、妖精が仲間になるなら、お得なんだよ」

と謎のライオン理論を展開した。


「え?そうなの?」と私は聞く。

「うん、僕達には回復の能力があるからね!」

と妖精くんが言った。


「win - winの関係ってことだね!」

と、へびくんがコンサルティング会社の人が言いそうなことを言った。

なるほどですね。


「じゃあ、きまり?契約成立ってことでいいの?」と妖精くん。

「契約成立だ」とライオンが答えた。


「じゃあ、砦に向かおう!」

妖精くんが意気揚々と言った。私達は砦に向うことに決めた。

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