第十二話『てへぺろ』
「教えてあげるから、僕も連れて行ってよ!」
妖精くんがそう言った。
「え?」
いきなりの妖精くんの提案に私は驚いた。
こんなかわいい妖精さんと一緒に旅ができるなんて!
異世界甲斐があるってもんだわ!!
『異世界甲斐』という単語があるのか知らないけれども。
「ついてきてくれんの?」
と、ライオンが聞いた。
ライオンも妖精さん好きなのかしら?
「私達この世界のこと全然わからないから、いろいろ教えてくれるとうれしいな」
と、私はぜひぜひ!
と目を輝かせて言った!
やっぱり冒険には妖精!
魔法少女にはマスコットキャラよね!
少女の夢だわ!!
「うーん、順調に行き過ぎてて、あやしいなぁ」
とへびくんが言った。
疑い過ぎだって!
ゲームやりすぎだから!
このゲーム世代!!
「妖精さんが悪い人なわけ無いでしょ!!」
と私が猛抗議する。
妖精さんが悪い人だなんて聞いたことない!
ひねくれた物語読みすぎなのよ!へびくんは!!
「お前は、頭がお花畑だな」
とライオンが言う!
なぬ!!
オヌシは仲間なのでは!!
妖精さんに関しては!
「なっ!!人に対して『頭がお花畑』って!!そんなこと言う人はじめてみたわよ!」
と猛抗議する私。
「ヤギちゃんはもうちょっと、賢く行きたほうがいいよね」
とヘビくんがにこっと笑った。
この人もサラッと私批判をいれてくるなぁ。
笑顔ですっかり忘れてしまうのだが。
そういう、サラッと毒をいれるのが、マイルドイケメンのストレス解消なのかもしれないわね。
よく考えたら。
みんなに良い顔するのってすごく大変だもんね。
と納得してみた。
「いきなり、悪者扱いされてる!!ひどーい!おねえちゃん助けて!!」
と、私のところに擦り寄ってくる妖精くん。
その姿は少年そのままでとっても可愛かったの!
これが元気な男の子萌え!!
いけない扉が開きそうだわ!!
「ほら!こんなに怖がってるじゃない!!やめなさいよ!!」
と、私が言う。
大人が寄ってたかってこんな可愛い男の子をいじめるなんて!!
「ヤギちゃん、ちょろすぎ!!」
と、へびくんが顔に手のひらを当てて困った顔をしそうな感じで言った。
実際には手はないんだけど。
「ほんとに純真なやつがそんなことするわけねーだろ!」
とライオンが言った。
え、そうなの?そういうものなの?
「え?そんなことないわよね?妖精くん?」
と、私が妖精くんの方を見る。
「ちぇ!!ばれちゃったか!!」
てへぺろって顔をしていた。
「わ、わるいやつだー!!!!」
私は叫んだ。
「だ、だまされた・・・」
と、膝をガクッと落としてうなだれる私。
「急に動くな!」
とライオンに怒られた。
そう私たちは1つの体なのだった。
私が動くとライオンも動く。
確かにこの動きを車になっててされたら、酔うかも。
「あ、ごめんごめん」
とりあえずあやまった。それとこれとは別だもんね!
私達のやりとりを遮って妖精くんが言った。
「とりあえず、あそこにある砦にいるボス倒しにいこっか!!」
と、妖精くんは明らかに私怨の目標を私たちに与えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます