第九話『フェアリー』

「つまり「しゃべる」のスキルを持っていそうな種族を探せばいいのか」とライオンは言った。

「正解!」へびくんは笑顔で答えた。


「『しゃべる』スキルを持っていそうなモンスターってどんなのがいるんだ?」

とライオンが私達に訊ねる、

サブカルチャーの知識は二人にお任せという感じだ。

まぁ、これから覚えることも多そうだし、まあいいかなと思う。


「うーん、やっぱりボスクラスなのかな、魔王とかはしゃべるイメージよね」

と、私なりの意見を言ってみる。


「そうだね。あとはフェアリーとか!」

と、へびくんが付け加えてくれた。


「フェアリー!!」

と、私のテンションが上がる!!


それは乙女っぽい!!

それはいいじゃない!!

妖精とおしゃべり!!


それはいいじゃない!!


そうだ、モンスターって言ったって、凶悪なモンスターばっかりじゃないんだった。

フェアリーかなりいい!!

私には癒やしが必要だわ!!


「フェアリー?妖精か?」

と、ライオンが反応した。

妖精は知っているらしかった。

一般的なのかな、妖精は。


「妖精はわかるんだ?」

と私がサブカルチャーに詳しくないライオンに訊ねる。


「ああ、妖精は映画にでてくるからな。ゴブリンもわかる、しゃべるゴブリンもいるよな、お金大好きなやつ?」

と具体的なエピソードも付け加えるライオン。

映画は見るんだな。

一般的な男子ってそんな感じなのかな?と思った。


「ああ、あの有名なファンタジー映画かぁ」

と私はなんとなくどの映画なのか分かった。


「ゴブリンも喋れるかもね、喋れない作品も結構あるんだけどね」

とへびくんが言う。

私のイメージだと、ゲームでは喋らなくて、映画だとしゃべる感じかしら。


「フェアリーとゴブリンどっちがいい?」

と、これから探しに行く、『しゃべる』スキルがあるモンスターどちらがいいか、私とライオンの二人に聞いた。


「フェアリー!フェアリー!フェアリー!!」

と私は連呼した。


「これで三票だから、決まりね!」

と、鏡で練習したスーパースマイルを見せた。


これが女子高生力!


しかし、いまはヤギなのだ。

どういう表情になってるのか、怖くて確認はできない。

そこは、深く考えないでおこう・・・。


「ゴブリンなんてわざわざ見たくないわよ!!妖精さんに会いたいわ!!」

と背景に花びら全開にして、乙女モードの私。


「その三票は一体どんなルールなんだよ・・・」

と呆れ顔の王子系イケメン風のライオン。


「まぁ、三票取られちゃったんじゃ仕方がないよね!」

とキラーンと歯を光らせながら言う、マイルドイケメン風のヘビくんが私のルールを採用してくれた!

キュンとするところだろう。

私が女子高生で彼が男子高校生だったら。


残念ながらイケメンだけどヘビなのだ。

そして、もっと残念なことに私はヤギなのだ。

とても残念なことに、恋には落ちなかった。


「じゃあ、フェアリーを探しにいこっか!」

とへびくんは微笑んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る