ちょっとなによ、愛の告白?


「宮崎がどうしたっ?」

と堀田が身を乗り出し、訊いてくる。


「……篠塚さんがコンパに行ったとき、隣りが石塚南央さんで、その隣りが宮崎亘みやざき わたるさんだったらしいです」


 晶生がそう言うと、

「宮崎亘?

 なんで此処でその名前が出て来るんだ」

と堀田は言ってきた。


「わかりません」

と言うと、


「うっかり、わかれよ。

 うっかり探偵」

と無茶を言われた。


 警察がなにを言う、と思いながら、晶生は、

「堀田さん、此処は勘に頼らず、地道に情報を集めて行った方が」

と言って、堀田に、


「お前が言うな~っ」

と叫ばれてしまった。





 堀田たちは汀の話を聞くというので、晶生は、

「お邪魔になるといけないので、帰ります」

と言った。


「……何処に行くんだ」

と堀田が振り向き、睨んで言ってくる。


「ですから、帰ります」

と繰り返してみたが、堀田は、


「何処に行くんだ」

とまた訊いてくる。


 恐ろしいな、刑事の勘って、と思いながら、晶生は溜息をつき、

「篠塚さんと石塚南央さんを会わせようかと」

と答えた。


 石塚南央の連絡先は真田が持っている。


「じゃあ、言ってけよっ」

と言う堀田に、


「いえいえ。

 あんまり霊の話を堀田さんにしても、あれかと思いまして」

と言うと、堀田は腕組みして、苦い顔でこちらを見た。


「日本語って、便利だよな。

 あれとか、これとか。


 むにゃむにゃむにゃと誤魔化せる。


 だが、わしに誤魔化しはきかんからな」

と言われ、はいはい、と晶生は言った。


「あとで、報告しますよ。

 もしかしたら、石塚さんの後ろに居る女性のことも、篠塚さん、ご存知かなと思いまして」


 では、と行きかけると、今度は、

「晶生!」

と汀が呼んでくる。


 振り返ると、汀は、ちょっとこちらを見たあとで、

「いや……なんでもない」

と言ってきた。


「ちょっとなによ。

 愛の告白?」


「阿呆か」


「私も晶生たちに行っていい?」


「誰か俺についてろよっ、ひとりくらいっ」

と堺と汀が揉めるのを聞きながら、晶生は沐生と篠塚とともに、病室から出た。





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