記憶を対価に客を乗せ銀河を飛ぶ燕と、三人の「記憶」の物語。美しく、少し切ない。いま私たちの立っているこの場所は、なにかを忘れて辿り着いた場所なのかもしれないと、そう思わされた。
思い出を支払って人を運ぶという発想が秀逸だと感じます。ただ、もう少し掘り下げて欲しかったと思いました。幻想的な雰囲気は素敵なのですが、ちょっとふわっとしすぎているかなと。銀河鉄道の夜をまた読みたくなりました。
道行きのために記憶を払う様々な旅客たち。人には忘れたい記憶もあれば、辛くても持ち続けなければならない記憶もある。それを優しく分かりやすく教えてくれる作品。
ある種の物語の祖型として評価したい。登場人物の来し方行き先が読む物の想像力をかき立てる筆致で描かれています。特に思い出から解き放たれる二番目の登場人物に心打たれる。良作です。読み進めるうちに、インスピレーションが湧いてきます。
そんなに恐ろしげにとらえなくても結構です。 この物語は、大事なものを得るために、自分たちの殻を破った人への優しさが詰まっています。 僕にも、そしてあなたにも。