Dreamer

プロローグ

　西暦2000年11月2日、アメリカの大手掲示板に『未来から来た』と名乗る人物が書き込みを行った。

　それは暫（しば）し有名になり、彼が掲示板に書き込んだ未来で起こったとされる様々な出来事は、実際に起こったり起こらなかったりと様々だった。

　また彼は自身がこの時代に来るために使用したタイムトラベルの理論なども、掲示板に書き記している。

　今となっては彼に関する多くは謎に包まれているが、彼が掲示板に書き記したことに関する書籍などが数多く刊行されている。

　また、彼が掲示板に書き込んだ内容や資料は、当時と変わらないまま今でも閲覧可能である。

　しかしその数年後、当時彼とチャットを通してやり取りをしたと自称する人物が、ある奇妙なことを掲示板に書き込んだ。

　その人物曰（いわ）く、『今現在公開されている情報が全てではない』と。

　また『何者かによって情報が隠蔽（いんぺい）されている』と。

　そんなことを掲示板に書き綴（つづ）る彼に痺（しび）れを切らした人が、『それならばその隠された情報とはなんなのか』と、問うと彼はその問い詰めには答えず、関係のない一言だけを書き残し、二度とその掲示板には現れなかったらしい。

　隠蔽した人物によって消されてしまったのか、はたまたチャットでやり取りをしたのいう人物は存在しなかったのか。

　今となっては謎だけが残る。

　誰も気にしていなかったのその一言は後に大事件のきっかけとも呼ばれた。

　しかしそのお陰でその分野における研究が大いに進歩するきっかけともなった。

　そして『未来から来た』とう名乗る人物はどこへ消えたのか。

　全てはこの一言から始まった。

『2036年、人類は夢を見なくなる』