第10話 コウモリの幻惑

「ねぇ、ほんとにこっちで合ってるの?」


ホーペの肩にガッチリつかまり、ビオラはつぶやく。


「さっきまでの威勢いせいはどこに行ったのさ。見ての通り、ホーペの首元、光がさしてるでしょ!」


きっともうすぐなんだよ!ホーンはビオラを見上げていった。


「でも、点滅してるっていうのが気になるのよねぇ。」


そういいながらビオラはホーペの胸飾りに触れた。


そのとき。


―バサバサバサ!!!!


「きゃっ!?」


ビオラの目の前に黒い物体がバサバサと羽音はおとを立てて群がった。


「ビオラ!!」


ホーンが肩から落ちるビオラを背中で受け止めた。


「コウモリだ!!」


ホーペは叫び、竜巻を起こして追い払おうとした。

しかし。


―キィィィイイイイン


コウモリたちはホーペたちの周りで奇妙な音を出す。


「うぅ…!頭が痛い…!!」


ホーペたちは頭の内側に響く奇妙な音に耐えきれず、その場にうずくまってしまった。


―そのとき、ビオラに異変が起きた。


「ママ…ママ!生きていたのね!」


ビオラはふらふらと立ち上がり、コウモリたちがたくさん群がる方向へふらふらと歩いて行った。


催眠術さいみんじゅつだ!ホーン!すぐに耳をふさいで!」


ホーペはホーンに向かって叫んだが、すでにホーンにも異変が起きていた。


「おじいさん…!ああ、無事だったんだね!おばあさんも、いま、行くから…」


ホーンもビオラの後を追うようにコウモリたちの群れについていく。

ホーペの叫びはむなしく届かない。

片耳を抑えて、コウモリの群れに炎を放とうとした。すると数匹のコウモリがホーペの目を覆った。

思わず払いのけようとしたホーペもまた、耳から手を離した隙に催眠術にかかってしまい。


「母さん!…まって!いまそっちに行くよ!」


コウモリの群れに導かれ森の奥深くへと姿を消した。


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