第9話 囚われの母
―ときは変わって、ここはホーペを待つ母、イヴのいる深い森。
―ガチャン!ガチャン!
冷たい鉄の牢屋の中でイヴは必死にカギを開けようとしていた。
「どうしてっ、内側からの魔法じゃ開かないなんて…っ!」
大きなカギの鍵穴に向けて炎や、氷、水、風、さまざまな魔法を使ってもカギはびくともしなかった。
「無駄だ。私の魔力で内側からの魔法はそのカギに通じないようにしてある。」
黒いマントを羽織った大きな男がイヴの元へやってきて言った。
「観念して私の妻になるのだ。そうすればお前の息子も、そしてお前も助かる。」
一石二鳥だろう。喉で笑いながら大きな手でイヴの顔を掴み、引き寄せた。
「あなたみたいな乱暴な男なんて死んでもごめんだわ!」
掴まれた手をバチンと払いのけると、サタンは鼻で笑った。
「まあいい。強情な女がしおらしく泣いて許しを請うのも悪くない。」
大きく笑いながら、イヴの元を後にした。
「気味が悪い。あんな男なんてアダムと比べものにもならないわ!」
イヴはそうつぶやくと、ポケットから青い羽根を取り出し、生気を送った。
「ホーペ。あともう少し、もう少しであなたに会える。」
そう語りかけながら、イヴは牢屋の中から見える黒い空を見つめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます