第9話 囚われの母

―ときは変わって、ここはホーペを待つ母、イヴのいる深い森。


―ガチャン!ガチャン!


冷たい鉄の牢屋の中でイヴは必死にカギを開けようとしていた。


「どうしてっ、内側からの魔法じゃ開かないなんて…っ!」


大きなカギの鍵穴に向けて炎や、氷、水、風、さまざまな魔法を使ってもカギはびくともしなかった。


「無駄だ。私の魔力で内側からの魔法はそのカギに通じないようにしてある。」


黒いマントを羽織った大きな男がイヴの元へやってきて言った。


「観念して私の妻になるのだ。そうすればお前の息子も、そしてお前も助かる。」


一石二鳥だろう。喉で笑いながら大きな手でイヴの顔を掴み、引き寄せた。


「あなたみたいな乱暴な男なんて死んでもごめんだわ!」


掴まれた手をバチンと払いのけると、サタンは鼻で笑った。


「まあいい。強情な女がしおらしく泣いて許しを請うのも悪くない。」


大きく笑いながら、イヴの元を後にした。


「気味が悪い。あんな男なんてアダムと比べものにもならないわ!」


イヴはそうつぶやくと、ポケットから青い羽根を取り出し、生気を送った。


「ホーペ。あともう少し、もう少しであなたに会える。」


そう語りかけながら、イヴは牢屋の中から見える黒い空を見つめた。


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