第5話 ホーンとの出会い

ビオラと共に、街の外れを歩いていると、一匹の大きな犬が後ろ脚を引きずって歩いているのを見つけた。

とっさにビオラは叫んだ。


「ホーン!?あなた!もしかしてホーンなの!?」


バッと振り返った大きな犬は、大きな目を丸くし驚いた表情をした。

しかし、一瞬にしてその表情は悲しみに変わった。


「ボクは…ボクは、もう、ホーンじゃ、ない。」


うつむいたその犬にホーペとビオラが近づくと、大きな犬は、ホーペをにらみ上げ牙をむき出し威嚇した。


「大丈夫。僕は何もしないよ。君の話を聞きたいだけなんだ。」


そう言って、大きな犬の足へ向けて気を送った、淡い光が大きな犬の足を包み、スゥーと足の中へ消えていった。

犬は驚いて後ろ脚を動かした。


「痛く…ない。」


ホーペを見上げ大きな犬の目は一瞬光を取り戻した。


―しかし


「ボクの足を治して、こき使うつもりなんだな!」


大きな犬は一変して険しい表情になり、唸り始めた。


「ホーン!あなたいつからそんな性格になってしまったの!ホーペはね…」


ビオラがそこまで言うと、ホーペはビオラの前に片手を伸ばし、口止めた。


「きみには何か人間を嫌う理由があるんでしょ?」


しゃがみこんで、大きな犬の目線で話すホーペに、少しずつ、牙をむいていた口を静かに閉じた。

しっぽと耳がへなりとうなだれて、


「ボクは、ホーンのままでいたかった。」


そう小さくつぶやいた。


「きみの話、詳しく聞かせておくれよ。」


ホーンが真剣なまなざしを送ると、大きな犬はふぅとため息をついて頷いた。

そして三人は、大きな犬の案内で人目につかない山へ向かった。

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