番外編SSシリーズ(お気軽にお読みください)

【番外編】輝く彼女

 セントラル・ナディアという惑星は、その名に恥じず銀河で最も繁栄していると言えるだろう。


 宇宙国際連合(SUN)の主要施設が集まっていている事から見ても事実だと言える。


 そんな銀河の中心と言える星の最も栄えた都市のさらに一等地に建つ複合建築の上層部に彼女はいた。


 おそらく銀河の中でもトップクラスの高級マンションの一室である。


 本来彼女は学園寮に入寮するつもりだったのだが、入寮予定の建物を見た父が「こんな狭くて汚いところに娘を入れられるか!」と学園からほど近いこの場所に部屋を購入したのだ。


 ちなみにその寮、クラシックな作りをしているが決して汚くも狭くも無い。完全に偏見である。


 シャノンは幼小中高大一貫校であるこのクローバー学園に高校までは自宅から車通いだった。


 しかし送り迎えが厳しいシャノンはあまり友達と遊ぶことが出来なかった。


 そこで大学入学と同時に寮生活をしたいと珍しく我が侭を言ったのだ。


 初め猛反発していた父親だったが、母親の説得もあり最もセキュリティーの高い寮に入れることで話がついた。


 実際並のテロリスト集団くらいなら入ることも出来ないし、万一の時は鎮圧できるだけの警備が敷かれていた。お嬢様学校恐るべしである。


 ところがいざ入寮という段階でアレ・・である。


 最終的には一人暮らし出来るようになり、むしろ願ったり叶ったりのシャノンであった。もちろんこれは母親による力が大きい。母親はシャノンの理解者なのだ。


 そんなわけで現在シャノンはレストランが丸ごと収まりそうな広さのマンションに一人暮らしである。掃除洗濯料理と家庭的な事は花嫁修業として納めていたので困ることは無かった。


 むしろ今までどれも手伝わせてすらもらえなかった鬱憤が、一人暮らしにより解放されたとも言う。シャノンは家事を楽しげにこなしていた。


 超高層から見下ろす風景はこの街の発展を一望できる最高の景色となっていた。液晶技術によって外から中を窺う事は出来ないが、中からは外が見える特殊なシースルー素材になっているので、シャノンは大分油断した格好でくつろいでいた。


 すでに大学に通って数ヶ月が経つ。幸い友達も出来たので、彼女の人生は順風満帆と言えるだろう。


 ちなみに彼女はこのマンションの価格を知らない。彼女がこのまま親のレールに乗れば数年で払える額だが、万一にもそのレールを外れて普通の職についてしまったら、人生が50回あっても払いきれないだろう。


 もっとも、そんな事はありえないだろうが・・・・・・・・・



 彼女が奇妙な固ゆで二人と出会う数年前のお話でした。


 ——おわり——

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