黒い湖3
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『よく、ここまで辿り着いた』
聞き覚えのある声がする。
『思惑通り、君はここに来た。あの忌まわしい金色竜と共に』
賢そうで、それでいて冷徹な。
……ドレグ・ルゴラ。
『私と君は似ている。全てを失い、絶望の淵にある』
似ているとは失礼な。
俺はお前なんかとは違う。
どんなに追い詰められたって、残酷なことは。
『君はその手で親友を殺した。それが残酷ではないと? 君は追い詰められれば追い詰められるほど力を発揮するらしい。これまでの力が限界だとは思っていない。本当は世界を砕いてしまうほどの狂気を隠し持っている』
何が……言いたい。
『本当の君が見たい』
ハァ?
どういう意味だ。
『これからが本当のお楽しみだ。私は本気で君を、君が大切にしてきたモノを潰す。その先に何があるのか、楽しみで仕方ない。……私は今、興奮しているのだ。あの金色竜に封じられて以来、私は退屈で仕方がなかった。ようやく封印は解けたが、どいつもこいつも私を畏怖して近づかない。そんな中、目下君だけが私を愉しませた。最後まで愉しませてくれよ、異界の干渉者リョウ……。そして、我が娘の愛しき人よ』
ドレグ・ルゴラは嗤った。
背筋が凍る。
いくら俺が救世主としての力を得たとしても、この言われ方は尋常じゃない。
何を考えている?
これから一体、何をしようと。
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