第186話「甦れ、創造の地よ」
こうして……
俺の嫁は6人となった。
皆、超絶美少女ばかりなのだが、何というか普通の子はひとりも居ない。
竜神族のハーフに、悪魔王女、数千年前の失われた魔法王国の王女に、神秘的なアールヴの女達である。
だが全員優しいし、何よりも俺を心の底から愛してくれているのが嬉しいのだ。
嫁が増えたのは嬉しいが、難しくなった部分もある。
アマンダとフレデリカの父マティアス・エイルトヴァーラとは相変わらず微妙な間柄。
まあ、気持ちは分かる。
目の中に入れても痛くない愛娘を、見ず知らずな他の男に取られる父親は辛い。
何か、きっかけがないと分かり合えない……そんなものだろう。
それはさておき、今回の最大の戦果と言えば一番の難関と思われたマティアスの妻フローラが味方についた事である。
彼女はエイルトヴァーラ家の実質的な支配者であり、女帝といっても過言ではない。
そんなフローラの前では、夫マティアスの不満など粉微塵に吹き飛んでしまった。
そして1番嬉しかったのは俺の説得により、フローラが憎しみの象徴として見ていたアマンダを認めてくれた事である。
マティアスの正妻フローラにしてみれば、認められない夫の過去を思い出させる象徴ともいえる存在がアマンダであった。
実子フレデリカと同等の娘扱いとまではいかないが、俺の妻としては認めてくれたようで何と和解の握手をしてくれたのだ。
この成果のきっかけとなったのは
ああ、
俺はこのチート能力を与えてくれた
だが、意外にもここで1番上手く立ち回ったのがフレデリカの兄アウグストである。
どさくさ紛れにしれっと『商人宣言』して、あたふたしていた両親にOKを貰ってしまったのだ。
何だ?
フォローもろくにしてくれなかったのに、要領は結構良いんだ、こいつ。
まあ、このベルカナの街に残って指揮を執る人材が必要なので渡りに船ではあるが……
こうして俺達は貴族家エイルトヴァーラの全面的な援助を受けられる事となった。
このベルカナの街で最大の有力者エイルトヴァーラ家と組む事が出来れば話は早い。
俺はマティアスに対して早速、廃墟となっているペルデレの街及び迷宮の再開発を申し込んだ。
さすがにアウグストも一緒になり、両親に対して強力にプッシュする。
元来アールヴの国イェーラはその民族的性格から排他的な国であったが、現在の
だから、かつてのガルドルド魔法帝国の街であったペルデレの街を再開発し、魔の迷宮を名物とした観光と商業の都市にする事は、この国の現在の方針にぴったり合っているのだ。
ペルデレを再興し、このベルカナの街の衛星都市として外貨を稼ぐ計画にはマティアスも興味を持った。
それも愛する息子アウグストからの献策ともあれば好意的に聞いてくれるのは当然である。
こうして暫しの検討の後、俺達のペルデレ再開発はアールヴ達の了解を得た。
名前も
ただマティアスを始めとしたアールヴ達は行方不明者を大量に出した忌まわしい街に関わりたくないらしい。
それが今回は幸いした。
アールヴから必要な金は引した上に、街の計画立案と工事など実務は俺達に任せて貰えたのである。
俺は嫁のソフィアは勿論、アールヴ代表のアウグスト、ガルドルドの新たな指導者である宰相テオフラストゥス・ビスマルクと相談して基本的な街の仕組みを決め、後は大体任せてしまう。
いくら俺が中二病でも、街づくりの差配に関して専門的な知識は皆無だからだ。
せいぜい参考意見的なアイディアしか出せない。
まあ、好みと言うか少し趣味は反映させて貰ったけどね。
迷宮は工事の為、一旦入り口を閉めた。
各エリアの面積を拡大した上で地下1階から5階までのみを冒険者向けとして一般開放する事にしたのだ。
俺達が地下5階に行くまで戦った魔物はそのまま配置してあるので、冒険者にとっては命を懸けた訓練場という事になるのだが。
その冒険者を迷宮へ誘う肝心の『人参』であるが、各階に鍵の掛かった宝箱を固定設置する。
中身は魔道具など、ある程度金額的な価値のある『賞品』にした。
ちなみに魔道具自体は、ガルドルドの魔法工学師達が普通の武器防具道具などに
コストも、余りかからない。
賞品となるお宝の入れ替えは宝箱自体の底に小さな転移門の出口を設ける。
箱が開けられて中身が抜き取られる度に、テオちゃん達が新たなお宝を送り込む仕組みだ。
発見されるお宝の質が良いと口コミで広がれば、それを目当てにした輩が殺到するのは予想出来る。
こうなれば、ひとやま当てようとする冒険者で街はにぎわうという計算。
最後にどこぞの某国の迷宮のように、悪の魔法使いを最下層に配置して懸賞金を懸けようという冗談が出たのは愛嬌であった。
こうして……ペルデレ改め新生ゲネシスは急速にその建設が進められた。
工事に携わるのは迷宮では無敵な存在である
暫し経つとゲネシスの再開発に目処がついたので、俺達はジュリアの故郷であるタトラ村へ久々に帰る事を決めたのであった。
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