第31話 最強のふたり
「まあ、かわいい女の子が来たわね」
魔導師アリス・テスラは黒いフードの奥からまるで月読波奈が見えるかのようにつぶやいた。
波奈の乗る式鬼<
「五色龍の術! 炎龍召喚!」
いきなり、神沢優の黄金の瞳が輝き、魔導師アリス・テスラに炎龍が襲いかかった。
「
魔導師アリス・テスラは雪嵐の盾を召喚し、炎龍を防御する。
が、炎龍は雪嵐の盾をすり抜けて、魔導師アリス・テスラの黒フードを焼き払った。
月読波奈の<時空眼>との合わせ技で、敵の防御を無効化したのだ。
「まさか! お前は!」
メガネは驚愕の声を上げた。
焼き払われた黒フードの下から白銀の装甲服のかわいこちゃんが現れたのだ。
しかも、金髪碧眼の美少女だった。
腰には黄金の鞘に収められた大剣が見える。
「何か文句あるの?」
魔導師アリス・テスラはメガネを睨みつけた。
「───ジャンヌ・ダルクとか?」
「だから、アリス・テスラと言ってるでしょう!」
「すいません」
メガネはうなだれた。
むしろ、その突っ込みは当然であろう。
「それにしても、なかなかのコンビネーションね。ちょっと見直したわ」
アリス・テスラはメガネを無視して、神沢優、月読波奈のふたりを見つめた。
「あなたも、相当、やるようね」
神沢優は厄介な相手だと思い、凄い勢いで頭脳を回転させていた。
相手が使った術の正体が全く分からなかったからだ。
月読波奈は無言で銀色の双眸を輝かせていた。
「さて、そろそろ、雑魚は消えてもらおうかしら」
アリス・ステラは左手の指でプラズマ球体をもて遊び始めた。
誰を生け贄にするか、考えあぐねてる魔女の瞳はエメラルドの光を放ちはじめた。
「やっぱり、あなたから消えてもらうわ」
アリス・ステラはメガネを馬鹿にするように嘲笑うと、プラズマ球体を巨大化させた。
メガネを護ろうとして、<ボトムストライカー>隊全機、神沢優、月読波奈も立ち塞がる。
「仲がいいわね。それならみんなまとめて消えなさい!」
<ボトムストライカー>隊全機を包み込むような巨大なプラズマ球体をアリス・ステラは左手から放った。
神沢優は水龍を召喚して、ブラズマの球体の速度を緩める。
雷は陰陽五行では木行に当たり、水に弱いからだ。
そこに、月読波奈が<時空眼>を重ねて、球体をどこかに飛ばしてしまった。
だが、アリス・ステラはその球体の後ろにもうひとつの小さな球体を隠していて、それがメガネたちに襲いかかった。
だが、それも水龍剣の水龍により辛くも防御された。
逆に、
そこにハネケの聖刀<オリハルコン>が炸裂して、半透明な防御シールドが浮かび上がった。
いつのまにか復活したようだ。
(なかなか、手強い敵だな。だか、メガネたちも負けてはいない)
信長が戦況を見極めていた。
(ですが、押され気味なのも確か。さっきの<時空魔法>を使われると厄介です)
清明も<ブラックナイト>から<ボトムスストライカー>隊を転移させた<時空魔法>を気にしているようだった。
しかも、<ブラックナイト>はアリス・ステラに戦いを任せ切って静観していた。
もしもの時は清明も戦場にでる覚悟はしていた。
(清明殿、何か気がかりなことがあるのかな?)
信長は清明の気配を感じてるようだった。
(私の予知夢では、ここで重大な決断をすることになります)
(それはどういう?)
(部隊を二手に分けて転移する必要があるかもしれません)
(やはり、天女の舞いの術式が解明できないか?)
(そうです。信長さまも気づいてましたか)
(まあ、舞いは好きでな。少しは知っている)
(やはり、柿本人麻呂、猿丸丈夫に会う必要があります)
(ならば、清明殿は飛鳥に行く必要があるな)
(わしはこの時代で踏ん張ればよいのか?)
(かなりつらい戦いになります)
(わしはすでに死んだ身、余生だと思って楽しませてもらおう)
(ひかり姫と波奈殿は連れてゆけ。こちらは現地調達でなんとかなる)
(陰陽道、道術のマジックアイテムを置いて行きます)
(それは助かる)
信長はいたずらっ子のように笑った。
最近、何か吹っ切れたのか、伸びやかで朗らかな波動をまとうようになっている。
この方ならやり遂げてくれると思い、清明は重大な決断を下そうとしていた。
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