第1話 「春の日晴れて、曇りの僕」

春が訪れた。晴れ渡る青空の下、道帝工科大学○△学部のキャンパスへと続く通学路には、これから始まる新しい大学生活キャンパスライフに希望を抱く新入生チェリーボーイアンドガールたちが大学へ向かっている。希林寺きりんじ 午史うましもまた、そんな新入生の1人だった。


「どんな大学生活になるんだろう・・・・とりあえず、サークルでたーっくさん遊んで遊びたいな!そんで、ゆくゆくは彼女をゲットして、そしたら・・・・ドュフフフフフ。」


爽やかな春の道の上にて、早くも淫らな考え事をする午史。心の中に留めておけば良いものを、不覚にも口から洩らしてしまっていることに、午史は気づいていない。明らかに周りの空気が引き気味になっていることも、午史が自覚することはないだろう。Sure.













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一方その頃、サバンナではシマウマとライオンの激しいレースが繰り広げられていたッ!


明日を生きるために逃げる者、そして明日へ食いつなぐために追う者・・・・・・両者共に自分のいのちを賭けた、まさに真のデス・レースと言えよう!!! 食われるか?死ぬか?生と死が紙一重であるこの状態だからこそ、両者のほとばしる汗に輝きが満ち溢れているッ・・・・!(知らんけど。)はたして、明日を生きられるのは、どちらか!?






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―――舞台はキャンパス内のとある教授の研究室に移る。其処ではこれから本格的に研究室への配属が決まった新4年生たちがせっせこせっせこ、とっぽきのっぽきもりもっこり、it's a beautiful rainny today. ・・・・・・まぁ要するに準備をしていた。ええ、準備ですよ!!準備してたんですよ!!!”準備してた。”って表現だけで何が悪いんすか!!!何を準備してるかって??知らんわ!!!!準備してるといえば準備してることになンだよ!!!!



まぁそれはおいといて、新4年生にあれやこれや説明してる1人の男性が居るでしょ? そうそう、新4年生よりかは年齢はちょっと高いけれど、新4年生たちがまるで死んだ魚のような眼をしてるのと比べたら、まだ眼に生気が残ってるあの人。彼の名前は丈田たけだ 研究あきさだ。実は彼もまた新しく研究室に入ってきた人。でも学生としてではなく、助教としてね? ちなみに彼はここの大学の出身・・・・ではない!(笑) だって、見ればわかるでしょ?まぁ確かに理系男の持つ独特な空気感は漂ってるけどさ、ほら、ちょっとフレッシュな感じしてるじゃん?それにまず眼が死んでない。これが1番大きい。


此処、道帝工科大学ってね、試験とか進級とか単位and卒業認定とかにかなり厳しいからね。どんなに血反吐を吐き散らかして汗を撒き散らして糞尿もらして鼻水・涙を垂れ流しまくって耳水も流して・・・・耳水みみみず?みみみず、みみみずみみみず。みみみみず。それ程テスト勉強とかレポート頑張ってもね、レポート書いたソイツの人生全否定・・・・いや全否定するだけならまだ優しい方だわ、とにかくありとあらゆる言葉を使いソイツの精神を修復不可にするくらいの言葉の暴力を振るいながらレポートを突っ返すし、何の不備も無いのに単位を落とすなんてザラっザラっZARA! そんなことしてるから皆濁った目になってくの。冒頭で眼を輝かせていた新入生たちもやがてはこうなるYO.しょうがないんだよ、そういうもんなんだから。



まぁ話だいぶ逸れたけど、丈田さんはそんな大学ではなく、偏差値も大学としての雰囲気も実績も、道帝工科大学からすれば

遥か雲の上に在るかのような大学を出たワケ。実際丈田さん、学部生時代も修士時代もかなり良い実績あるから。ね?彼の眼が死んでない理由わかったでしょ?



でもねぇ、どんな優秀な人材であろうと、ここ目本めっぽんは技術者とか研究者への待遇がf**kin'サイテーなの。無論それは丈田さんも同じでね。まぁ研究者に就いている時点でそこそこ勝ち組かもしれないけど、あんなにエリートなのにこんなクソな・・・・あ、言葉遣いが汚かったな。訂正しよう。こんなウンチな大学で色んな事務関係のこともやらなきゃいけないのがね。KA(か)・NA(な)・SHE(し)・ME(み)。でも丈田(たけだ)さんは下を教えること自体はすごく好きだけどね。まぁそうでなきゃ助教なんかやんねっか。うん。




「ーーー以上が、前期の大まかなスケジュールとなります。後期の過程につきましては、前期が終了する近い日に説明を行う予定でいます。・・・・では、何か質問のある方はこちらに残って頂いて、今日はこれでおしまいです。」



おっ、丈田くんのお仕事終わったみたい。学生たち、ぞろぞろと帰る。残ってる子たちも特に質問する気は無さそう。



「ええと丈田くん、この後ちょっと付き合ってもらいたい用事あるんだけど、かな?」



丈田くんの半径10m以内にオッサンが接近!この超上司感漂うセリフなそれな。でもこのオッサン・・・・いやまずオッサン呼ばわりが失礼だわな。だってこのオッサン、この研究室を受け持ってる教授ですもの。




この教授の名前は先頭井まずい 一角いっかく。先頭井 さんの研究室はまぁ人気はあまり無いけど、そこまで不人気なワケでもないから・・・・要するに”まあまあ”ですよ。まあまあ。まあまあまあまあ。まあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあおっと、母国語が出てしまいました。続けます。




先頭井さんはこの学科の教授チームの中でも古参の部類に入るのですが、まぁこの人、事務関係で色々忙しくてね。忙しくて自分のやりたい研究とか全く出来なくてストレッスマンになってるっす。そんな日々のストレスを消してくれるのは酒と煙草とギャンブルだけ。うぅ〜ん!ダメ男☆ ちなみに先頭井さんはかつて家庭を持ってたそうだけど、彼はどうもラーメン作りが趣味らしくてね、あまりにもラーメン一筋過ぎてご家族さんもついていけなくなっちゃって結果家からデデっちゃったんだって。なお今でも先頭井さんは自分のラーメンを極めているのらしい。・・・・そのラーメン食べたことある人、居るのかね。どうやら昔ラーメン屋開いてた過去があるっぽいけどサ。どんな味なんだろう。


ていうか先頭井さん、研究したかったんじゃねえのかよ。ラーメン作りに命賭けてるみたいになってるじゃん。何か書いててわかんなくなってきた。




「ーーーそんな訳でね。この授業と、あとこれの担当をやってもらうから、お願いね。」



「わかりました。では。ーーー」



おいおい、先頭井さんのことでバーっと書いてたら、先頭井さんと丈田さんの会話が終わったではないか。訴訟モノじゃ。謝罪と賠償を要求してやるけん。・・・・いや謝罪はいいから賠償を要求するけん。てか単純に金くれ。




「ーーーあっそうそう!丈田くんさ、ちょっと言っておきたいことがあるんだけど・・・・・・」



「はい、何でしょうか。」



その場を去ろうとしていた丈田くんをYARIKIRIストップ。




「今月の間だけは、夜の7時以降には大学の中に居ないでほしいんだ。」



「ーーーえ?」



「いやだから、夜の7時になる前に早く家に帰ってほしいんだ。」



丈田の頭の上にはクエスチョンマークが浮かび上がっている。しかも、具現化されている。だから本当にクエスチョンマークが浮かんでいる。でも誰も突っ込まない。




「ーーーなるべくそうなるよう努力しますけど、仕事が終わらなくて夜遅く居ることになるかもしれませんが。」




「いや、夜遅くまでかかりそうになったら仕事を切り上げても構わない。もし夜7時以降の仕事を頼まれたとしてもやらなくていいから。僕がやるから。ともかく、今月中は早めに帰ってほしいんだ。」




そうしなけばならない理由を丈田が聞こうとしたその時である。



「理由は、―――言わないからね?」




丈田が聞こうとしたものを先頭井は察知したのだろう。まず自分が聞くつもりだった趣旨を、何の余地もなく察しづき、即座に返答した時点でビビびビビりモノだし、それにこれまでとは何か言い方が違かった。なんかこう、”それを知った際にはお前はどうなるか・・・・・わかっているよな?”とでも言いたげなゴリラが檻の中でスウェーデン・スタイルで寝そべっている所を見かけてしまい、その時に足元を彷徨いていた鳩が道端に落ちていたポップコーンの破片を一所懸命に突ついていて、”そういやモノレールに乗ってた時に見かけたあのモニュメント、いったい何だろう。今度散歩して見てみようかな。”とぼんやり考えていた小学三年生の男の子がお箸箱をスライドして遊んでる時のあの音に似ていた。





……え?比喩のつもりなのか分からないが全く以て言ってる意味がわからないって?





まあまあ、安心しなさいって。






――――俺もよくわかってねえから。






でもさ、皆あれだろ?何かさ、事件が起きた時に事件に関係ない、目の前に入った物とかで比喩しまくってしまくってさ、何か心情を表現するー……みたいなさ。何だっけ。なんかのコピペでみたさ、村上春樹流の文章、みてえなヤツ?ああゆうの皆は好きなんだろ?何か捻くれた喩え方すんのが皆さんお好きなんでしょう?まぁボかぁ一度も村上春樹の本を読んだことはないんだけどね。うん。






……げ。だとしたらさっきの文章って、目の前にある物での比喩じゃねーじゃん。ね。ゴリラとか小学生とか出て来てねーじゃん。AHA♡わたし過失☆AHA♡ それはとてもとても深くて罪深い過失





……自分でも書いてて意味わからなくなってきたからココまでにしておくけど、とりあえずなんかヤバそうだったんで丈田は聞かないことにした。



「そろそろ授業の時間だね。それじゃ丈田くん、よろしくね。」


「ーはい。」



丈田は必要な書類を持ち、研究室を後にした。これから丈田はこの大学では初めて授業を受け持つのだが、彼の脳内は未だに先頭井の謎めいた要求への疑問ばかりが浮かび上がり、どうも授業へと転換できそうにないようだ。頭の中がますます曇ってゆく。




時刻はお昼過ぎ。お日様Sunshine。もぎもぎEveryday。……とりあえず、太陽の光が徐々に傾き始めてたの!!!!

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