第10話 よっし、出発!
決行の日の朝、わたしはいつも通り眼を覚ました。いつも通り味噌汁を作り、「ほらー、遅刻するよ!」とお父さんに声を掛け、おばあちゃん、お父さん、お母さん、わたしの森野家総勢4人で朝の食卓を囲む。洗濯機を回し、掃除機をかけ、おばあちゃんと冗談を交わし、AM9:00になった。
「お母さん、ちょっとわたし出かけるね。お昼ご飯はいらないから」
「え、どこ行くの?」
「いやちょっと」
この一言で無理やりお母さんへの説明を終える。でもいたってごく普通の遣り取り。
ちょっと違うのは、Tシャツとショートパンツといういつものいでたちに加えて、たまに遊び程度にやるテニス用のキャップをかぶり、顔、手足に、大量の日焼け止めクリームを塗ったこと。
でも、なんてことはない。
ほんのちょっと、30kmほど自転車で遠出するだけだから。
「じゃあ、行ってきます」
「シズル、気ぃ付けてね」
おばあちゃんがにやにや笑って私を送り出してくれた。
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