第二章

第47話

「私はワルドのことが好きですよ」

 セシリア・ストレンツァーは昔からこういうことを平然と言う娘でした。

 僕たちは、孤児として同じ施設で育ち、同じ世界を共有してきました。私にとって、セシリアが私の隣にいることは、改めて考えるまでもなく、当然のことで、なぜ彼女が施設を出てからも、私の隣に居続けるのか。その理由を深く考えることすらありませんでした。

 しかし、彼女は最初からその理由を宣言していたのです。

 彼女は僕が好きだから――

 私は大人になった彼女に強引に押し倒されて、ようやく、彼女の『好き』という言葉の真意を理解しました。

 そして、そのとき、僕には彼女を拒絶する理由は見出だせませんでした。

 だから、僕は安易に彼女を受け入れてしまった。

 それが、かえって彼女を傷つけることになるのだということを知らずに。

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