第40話

○漫画雑誌

 そよぎは漫画雑誌をめくりながら言った。

「ねえ」

「ん?」

「新連載のマンガの第3話ってさ」

「うん」

「あおりにいっつも『早くも話題沸騰!』って書いてない?」

「いや……確かに大体いつもそのアオリだけど……」

「本当に毎回、話題沸騰してるの?」

「してんじゃねえの」

「証拠は?」

「証拠……って言われても」

「正確なデータの提示に基づかない情報の信頼度は著しく低いものになるんだよ」

「今日は、なんでそんなめんどくさいこと言うんだ」

 そよぎはたまにものを考えるとめんどくさいことを言い出します。

「あと、新連載ってさ、人気ないと10週で打ち切られたりするけど」

 そよぎは言う。

「10週で打ち切るなら最初から連載させなければいいんじゃないの?」

「いや、実際連載させてみないと解らないこともあるんじゃないか……」

「でも、それは編集部が自分たちで人気が出る作品を判断できてないってことだよね。自らの無能をさらけ出すことになるよね?」

「そりゃそうだけど!」

「第3話では話題沸騰してたのにね」

「ちょっと冷えちゃっただけだろ!」

 今日はやけに絡んでくるな。

「なあ、なんかあったのか?」

 そよぎが何かを批判するのは珍しい。なぜなら、普段は何かの批判ができるほど、ものを考えていないからだ。こんなにも、ねちねちと編集部に絡むあたりからして、何かあったのだろう。

「……なんでもないんだよ」

「ほんとか?」

「……なんでもない」

 そよぎはただを捏ねる子供のように叫んだ。

「私の送ったネームが大賞に選ばれなかったことを恨んでるわけじゃないんだよ!」

「おまえ、マンガ描いてたのか……」

 そよぎの送ったネームは、字が汚すぎて読めませんでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援した人

応援すると応援コメントも書けます

ビューワー設定

文字サイズ

背景色

フォント

一部のAndroid端末では
フォント設定が反映されません。

応援の気持ちを届けよう

カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック!

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう!