第28話
○そよぎの髪
「そよぎの髪って綺麗だよな」
僕は、そよぎの艶めく長い黒髪を見ながら言う。
すると、そよぎは豊満な胸を張って言った。
「当然だよ。私は美少女だからね!」
そんな言葉を受けて、僕は言う。
「前から思ってたんだが、そよぎ、ナルシストだよな」
「『ナルシスト』? 私、べつにラーメンはそんなに食べないけど」
「ナルシストっていうのは、ナルトをたくさん食べる人のことではないんだ、驚くべきことだけど」
僕はナルシストという言葉の説明をしてやる。
「うーん、私はそれじゃないと思うけどな」
「いやあ、かなりナルシストだと思うぞ」
「それってまずいの?」
「いや、まずい。というか。まあ、ある程度、そういう発言は控えた方がいいかなって気持ちはあるけどさ」
「うーん」
そよぎは珍しく頭を振り絞っているようで、真剣な顔をしている。
「たとえばね」
そう前置きして、そよぎは語り始める。
「『渡辺幸助は高校生です』って言っても変な発言だなって思わないでしょ。実際、高校生なんだから」
「そうだな」
「それと同じで『愛原そよぎは美少女です』っていうのも当たり前なんだから、変な発言じゃないんだよ」
「うーん?」
解る様な解らんような。
「いや、そういう話ではなくてさ。確かにおまえは美少女かもしれないけど、それを自分で言うかどうかということが問題で……」
僕も何が言いたかったのかわからなくなってくる。
「ん?」
そして、そよぎの笑っている顔を見ていたら、そんなことはどうでもよくなってくる。
「はあ」
やっぱり、愛原そよぎは類いまれなる美少女なのであった。
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