とらとうさぎ

苔豚

とらとうさぎ

 ある山に、一ぴきのとらがいました。

 とらは、ウサギの肉が大好きでしたが、狩りがあまりじょうずではありません。

 しかし、そのとらはお金もちのおぼっちゃまで、お金だけはいっぱい、それはもう数えきれないほどもっていたのです。


 ある日、とらはぎょうしゃの人にたのんで、山をさくでかこんでしまいました。

 しかし、それでもウサギは、あちこちにはえている木をうまくつかって、にげてしまうのでした。

 おなかがへってきたとらは、こんどはべつのぎょうしゃの人にたのんで、木々をすべてきりとってしまったのです。


 今度こそはとがんばってウサギをつかまえてみるとらでしたが、ウサギはあなぼこににげかくれてしまいました。


 いよいよおこったとらは、今度はぎょうしゃにあなをうべてうめたてて、きれいな原っぱにしてしまったのです。


 こうして、とらはウサギを食べほうだいのしあわせな生活ができました。


 しかしある日、大きな問題が出てきてしまいました。ウサギを食べすぎたせいで、少しずつウサギが少なくなってきたのです。そこでとらは考えました。


「このままだとウサギがいなくなってしまう。でも、がまんなんかしたくないぞ」


 うーんうーんとなやんだとらですが、ふといい考えがうかんだのです。


「人から、ウサギを安く買ったらいくらでも食べられるぞ!」


 そこでとらは、またしてもぎょうしゃの人にお願いして、ウサギを安く買えるばしょからどんどんウサギを買っていくことにしたのです。


 食べられるウサギをかわいそうだという人たちもいましたが、ぎょうしゃにたのむのを止められなかったウサギが悪いということにすると、ほとんどみんなわかってくれたようです。


 こうしてとらは、好きなだけウサギを食べてしあわせに暮らしましたとさ。めでたしめでたし



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とらとうさぎ 苔豚 @kokebuta

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