概要
王冠を押しつけた兄姉の皆様、玉座はもう満席です
「沈む国の王冠なんて要らない。お前にやる」
父王の葬儀の翌朝。大広間で、王太子だった長兄が継承権の放棄書に署名し、ペンを放った。次姉は修道院へ、三兄は留学へ、ほかの兄姉も馬車へ。国庫は空で、帝国の軍は国境の橋の向こう。十二人の署名が並んだ紙の下に、空欄が一つだけ残っていた。
末っ子の私、アンネッタ・二十歳。
「……本当に、いいのですか?」
「要らないって言ってるでしょう、おチビさん」
ぱん、と私は手を叩く。
「はい、決めました。いただきます」
戴冠式に来たのは使用人だけだった。でも私は知っている。この城で本当に仕事ができるのが誰か。洗濯場の女官長、門番の老兵、厨房の料理長。それから――地下牢の、いちばん奥の人。
「女王が死刑囚に何の用だ」
「宰相を、お願いしに来ました」
父王の葬儀の翌朝。大広間で、王太子だった長兄が継承権の放棄書に署名し、ペンを放った。次姉は修道院へ、三兄は留学へ、ほかの兄姉も馬車へ。国庫は空で、帝国の軍は国境の橋の向こう。十二人の署名が並んだ紙の下に、空欄が一つだけ残っていた。
末っ子の私、アンネッタ・二十歳。
「……本当に、いいのですか?」
「要らないって言ってるでしょう、おチビさん」
ぱん、と私は手を叩く。
「はい、決めました。いただきます」
戴冠式に来たのは使用人だけだった。でも私は知っている。この城で本当に仕事ができるのが誰か。洗濯場の女官長、門番の老兵、厨房の料理長。それから――地下牢の、いちばん奥の人。
「女王が死刑囚に何の用だ」
「宰相を、お願いしに来ました」
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