概要
俺を捨てた女の上司が、毎週金曜の最終便でみかんの島に来て帰らない
「農家の長男とは、結婚できない」。二週間前、婚約者の早川美玖(二十八)はそう言って指輪を返した。
俺・日野蒼太(二十九)は翌日に退職届を出し、瀬戸内の島に戻って、三年前に死んだ父のみかん農園を継いだ。祖母の腰はもう畑に向かない。極早生の収穫は待ってくれない。
収穫初日の夕方、金曜の最終便から降りてきたのは、美玖の上司だった。東和フーズ青果部・部長、神代沙保里(三十六)。「取引の話に来た」と名刺を出し、軽トラの助手席に座り、最終便を見送った。
「あの子が、あなたを笑ったから。私はりんご農家の娘で、実家を捨てた側。……見たら、欲しくなった」
月曜、沙保里は本当に発注を起こす。担当は、美玖。
都会の部長が島の朝五時を覚え、作業着を置いて帰るようになり、元婚約者が「日野農園の担当」として俺のみかんを
俺・日野蒼太(二十九)は翌日に退職届を出し、瀬戸内の島に戻って、三年前に死んだ父のみかん農園を継いだ。祖母の腰はもう畑に向かない。極早生の収穫は待ってくれない。
収穫初日の夕方、金曜の最終便から降りてきたのは、美玖の上司だった。東和フーズ青果部・部長、神代沙保里(三十六)。「取引の話に来た」と名刺を出し、軽トラの助手席に座り、最終便を見送った。
「あの子が、あなたを笑ったから。私はりんご農家の娘で、実家を捨てた側。……見たら、欲しくなった」
月曜、沙保里は本当に発注を起こす。担当は、美玖。
都会の部長が島の朝五時を覚え、作業着を置いて帰るようになり、元婚約者が「日野農園の担当」として俺のみかんを
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?