概要
死者を送るお経は誰のため?寺の縁側で立ち止まる僕らの優しい思索の日々。
祖父の一周忌の帰り、高校二年生のきみは、お寺の片隅にある小さな文庫の戸を引いた。
迎えてくれたのは、住職の娘の澄香さん。仏教学を学んだのに、自分でもわからないことに対しては「よくわからない」と正直に言う人だった。
「お経って、誰のために読むと思う?」
「死んだ人のためでしょ。でも、死んだら脳が止まって終わりじゃないですか」
とある王子が見てしまった老いと死。
死んだ子を抱いて薬を求めた母。
地獄の絵、極楽への念仏、言葉を捨てた禅僧たち。
そして、戒名のお金と、差別の歴史。
懐疑派のきみは、毎回まっすぐに反論する。澄香さんは、簡単な正解で片づけない。ときに一緒に黙り込み、ときに自分の迷いを打ち明ける。
澄香さんの部屋の棚には、白い布をかけた小さな箱がある。彼女は祖母の分骨を、
迎えてくれたのは、住職の娘の澄香さん。仏教学を学んだのに、自分でもわからないことに対しては「よくわからない」と正直に言う人だった。
「お経って、誰のために読むと思う?」
「死んだ人のためでしょ。でも、死んだら脳が止まって終わりじゃないですか」
とある王子が見てしまった老いと死。
死んだ子を抱いて薬を求めた母。
地獄の絵、極楽への念仏、言葉を捨てた禅僧たち。
そして、戒名のお金と、差別の歴史。
懐疑派のきみは、毎回まっすぐに反論する。澄香さんは、簡単な正解で片づけない。ときに一緒に黙り込み、ときに自分の迷いを打ち明ける。
澄香さんの部屋の棚には、白い布をかけた小さな箱がある。彼女は祖母の分骨を、
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!『わからない』から始まる、死と救いの対話
「死んだ人は、どこへ行くのか」。誰もが一度は考えながら、簡単には答えられない問いを、高校生と寺の娘の対話から静かに掘り下げていく作品です。
印象的なのは、澄香さんが仏教を教える立場でありながら、何でも断言しないこと。「私もよくわからない」と言える彼女に対して、主人公も戒名のお金や死後の世界について遠慮なく疑問をぶつける。そのため宗教を一方的に説くのではなく、読者も一緒に考えられる距離感があります。
そして、仏教二千五百年の思想だけでなく、戒名、差別の歴史、さらには亡くなった人の声を再現する技術まで扱うことで、「死者を悼むとは何なのか」という問いが現代へ繋がっていくのも興味深いです。
何…続きを読む