概要
湯けむりのように消えるものと、消えない言葉。冬の熱川、ふたりの再会。
姉が死んで、五年になる。俺は姉の遺したスクーターに乗り、姉のあとを継いだバナナワニ園のパーラーで働きながら、伊豆熱川で変わらない日々を繰り返している。ああ、変えられない、と言ったほうが正しいのかもしれない。
ある冬の日、客のいない平日のパーラーに、高校の親友が帰ってきた。ウールのスカートをつまんで「変……じゃない?」とはにかむ優。男だったあいつは、女として生きるために東京へ出て行った。三年ぶりに見る笑顔は昔のままで、それでいて、どこか寂しそうだった。
寒さに震えている優を見かねて、俺は地元のツテで小さな宿の露天風呂へ連れていく。湯けむりと白い息、冬の星空の下で、優はぽつりぽつりと言葉をこぼしはじめる。姉のこと。東京のこと。そして、ずっと言えなかったこと。
湯けむりのように白く、消えて
ある冬の日、客のいない平日のパーラーに、高校の親友が帰ってきた。ウールのスカートをつまんで「変……じゃない?」とはにかむ優。男だったあいつは、女として生きるために東京へ出て行った。三年ぶりに見る笑顔は昔のままで、それでいて、どこか寂しそうだった。
寒さに震えている優を見かねて、俺は地元のツテで小さな宿の露天風呂へ連れていく。湯けむりと白い息、冬の星空の下で、優はぽつりぽつりと言葉をこぼしはじめる。姉のこと。東京のこと。そして、ずっと言えなかったこと。
湯けむりのように白く、消えて
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