概要
神聖ローマ帝国。従者には、誰にも言えない過去がある。
1156年、冬の終わり。
ダッセル伯家の若い従者エーリヒは、伯爵の弟ライナルトを迎える護衛行に加わった。
十八歳。口数が少なく、字も読めないとされる下級の従者。濡れた靴と袖口の継ぎ当てを気にする彼は、仲間たちの目には、どこにでもいる若者に見えた。
だが、旅の用向きを知る者は少ないはずなのに、一行を探す者はいつも先にいる。皇帝の宮廷へ向かう道には、増水した川とぬかるみ、見えない利害が待ち受けていた。
槍を構える古参の護衛。騎士を夢見る友。帰りを待つ人々。彼らと道を進みながら、エーリヒは人知れず手を打っていく。その判断が、なぜ若い従者にできるのか。
剣で守れるものと、一通の文書で動くもの。十二世紀ドイツ、帝国をゆく旅の中で、ひとりの青年の秘密が静かに浮かび上がる。
『何度目かの帝国』第一部――皇帝への道。
ダッセル伯家の若い従者エーリヒは、伯爵の弟ライナルトを迎える護衛行に加わった。
十八歳。口数が少なく、字も読めないとされる下級の従者。濡れた靴と袖口の継ぎ当てを気にする彼は、仲間たちの目には、どこにでもいる若者に見えた。
だが、旅の用向きを知る者は少ないはずなのに、一行を探す者はいつも先にいる。皇帝の宮廷へ向かう道には、増水した川とぬかるみ、見えない利害が待ち受けていた。
槍を構える古参の護衛。騎士を夢見る友。帰りを待つ人々。彼らと道を進みながら、エーリヒは人知れず手を打っていく。その判断が、なぜ若い従者にできるのか。
剣で守れるものと、一通の文書で動くもの。十二世紀ドイツ、帝国をゆく旅の中で、ひとりの青年の秘密が静かに浮かび上がる。
『何度目かの帝国』第一部――皇帝への道。
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