概要
王宮暮らしは大迷惑。だが、消された故郷だけは、必ず取り戻す。
馬車の窓の外は、すっかり闇に沈んでいた。
目を閉じても、開けても、同じ光景が浮かんでくる。
草が風に揺れるだけの、だだっ広い野原。
家の土台も、井戸の石組みも、畑の跡さえない。
確かに、ここに家があった。牛小屋があり、道場があり、日暮れになれば子供たちの声が響いていた。
「ユアザライ村? そんな村は、初めから存在しません」
男は、顔色ひとつ変えずに言った。
嘘だ。
俺はそこで生まれ、育った。親父に剣を習い、おふくろに叱られ、妹の作った飯を食った。存在しない? ならば、俺が生きてきた時間は、いったいどこへ消えたというのか。
気づけば、剣を抜いていた。手には、人を斬った感触が残っている。震えが止まらない。
「……取り戻す」
誰に聞かせるでもなく、俺は呟いた。
「村を。親父も、おふく
目を閉じても、開けても、同じ光景が浮かんでくる。
草が風に揺れるだけの、だだっ広い野原。
家の土台も、井戸の石組みも、畑の跡さえない。
確かに、ここに家があった。牛小屋があり、道場があり、日暮れになれば子供たちの声が響いていた。
「ユアザライ村? そんな村は、初めから存在しません」
男は、顔色ひとつ変えずに言った。
嘘だ。
俺はそこで生まれ、育った。親父に剣を習い、おふくろに叱られ、妹の作った飯を食った。存在しない? ならば、俺が生きてきた時間は、いったいどこへ消えたというのか。
気づけば、剣を抜いていた。手には、人を斬った感触が残っている。震えが止まらない。
「……取り戻す」
誰に聞かせるでもなく、俺は呟いた。
「村を。親父も、おふく
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