概要
一周、十分。
五年前の十一月、遼と澪は、湾岸の観覧車の中で、何も言えなくなった。
「ごめん」と「ありがとう」を使い切って、最後の言葉に遼だけが、返事をしなかった。
窓の曇りに残された二文字。
ポケットの中で勝手に切られた、真っ黒なシャッター音。
「右手はね、とっておくの」と言った、あの人の、冷たい指先。
閉園の夜。
抽選で選ばれた四十八組だけが、夜明けの最終便に乗れる。
遼は、忘れ物を取りに行く。
澪は、五年間、同じ場所に、忘れ物を預け続けた。
取りに来る人が、持ち主とは限らない。
言えなかった言葉。消えてしまう文字。
これは、ちゃんと終われなかった二人の、十分間の物語。
「ごめん」と「ありがとう」を使い切って、最後の言葉に遼だけが、返事をしなかった。
窓の曇りに残された二文字。
ポケットの中で勝手に切られた、真っ黒なシャッター音。
「右手はね、とっておくの」と言った、あの人の、冷たい指先。
閉園の夜。
抽選で選ばれた四十八組だけが、夜明けの最終便に乗れる。
遼は、忘れ物を取りに行く。
澪は、五年間、同じ場所に、忘れ物を預け続けた。
取りに来る人が、持ち主とは限らない。
言えなかった言葉。消えてしまう文字。
これは、ちゃんと終われなかった二人の、十分間の物語。
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