概要
元婚約者が今さら気づいても、年上若女将の溺愛と外堀埋めは止まらない
群馬の山あいの温泉街、霧ヶ沢。信用金庫に勤める樋口修平(30)は、五年間、週末のたびに婚約者の実家の老舗旅館「桂木屋」の帳場に立ち、駅との送迎バスを運転してきた。給料は受け取っていない。いずれ家族になる家だったからだ。
紅葉で満室の土曜の夜、東京から八か月ぶりに帰ってきた婚約者の杏奈は、知らない男を連れていた。「東京の彼と結婚することにしたの。旅館の手伝いも、もういいよ」。指輪は、宿帳の上に置かれた。
修平は黙って最後の送迎まで済ませ、法被をたたんで返しに行った。受け取らなかったのは、旅館を継いだ杏奈の姉、若女将の志乃だった。「この家の婿は、あなたしかいないんです。五年前から、ずっと」
婿はそのまま、嫁だけ替えればいいと言い出す大女将。とっくに「若旦那」と呼んでいた仲居たちと板長。信金
紅葉で満室の土曜の夜、東京から八か月ぶりに帰ってきた婚約者の杏奈は、知らない男を連れていた。「東京の彼と結婚することにしたの。旅館の手伝いも、もういいよ」。指輪は、宿帳の上に置かれた。
修平は黙って最後の送迎まで済ませ、法被をたたんで返しに行った。受け取らなかったのは、旅館を継いだ杏奈の姉、若女将の志乃だった。「この家の婿は、あなたしかいないんです。五年前から、ずっと」
婿はそのまま、嫁だけ替えればいいと言い出す大女将。とっくに「若旦那」と呼んでいた仲居たちと板長。信金
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