概要
大正の春、車椅子の若様と新米女中の、恋になるまでの一年。
大正十二年、春。
十八歳の森田小春は、故郷を離れ、奈良の町にある久世家へ奉公にやってきた。
広いお屋敷、初めての女中仕事、厳しいけれど面倒見のよい先輩たち。慣れない暮らしに戸惑いながらも、小春は持ち前の明るさで、一つひとつ仕事を覚えていく。
そんな小春が出会ったのは、久世家の跡取り息子、久世清臣。
二十七歳。かつて陸軍中尉として戦地に赴き、負傷して車椅子で暮らす青年だった。
怖い軍人さんを想像していた小春を迎えたのは、洋装の似合う、穏やかで少しお茶目な若様。
「ふふ。そんなに畏まらなくても大丈夫だよ」
初めて見る車椅子も、知らなかった花の名前も、若様の柔らかな物腰も。小春にとって、お屋敷での毎日は驚きと発見の連続だった。
春には山吹を眺め、夏には涼を楽しみ、秋には人の旅立ちを
十八歳の森田小春は、故郷を離れ、奈良の町にある久世家へ奉公にやってきた。
広いお屋敷、初めての女中仕事、厳しいけれど面倒見のよい先輩たち。慣れない暮らしに戸惑いながらも、小春は持ち前の明るさで、一つひとつ仕事を覚えていく。
そんな小春が出会ったのは、久世家の跡取り息子、久世清臣。
二十七歳。かつて陸軍中尉として戦地に赴き、負傷して車椅子で暮らす青年だった。
怖い軍人さんを想像していた小春を迎えたのは、洋装の似合う、穏やかで少しお茶目な若様。
「ふふ。そんなに畏まらなくても大丈夫だよ」
初めて見る車椅子も、知らなかった花の名前も、若様の柔らかな物腰も。小春にとって、お屋敷での毎日は驚きと発見の連続だった。
春には山吹を眺め、夏には涼を楽しみ、秋には人の旅立ちを