概要
鍵より先に、返すものがある。
小さな管理代行会社を一人で営む久留米修治は、今日の六時までに旧家の合鍵を用意できなければ、大事な管理契約を失う。摩耗した古い鍵は三軒の鍵屋に断られた。最後に訪ねたのは、元婚約者の柴崎あずさが今日かぎりで畳む町の金属加工所。あずさは条件を出す。先に自分の発送を済ませること、借りっぱなしの工具を返すこと、依頼主に本当の進み具合を伝えること。雨の午後、ごまかしてきた修治の仕事ぶりが一つずつ試されていく。
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