概要
届くのは、一尺。それで足りる。
通夜の晩、早桶が潰れ、亡骸だけが消える。
屋根も天井も無事のまま。雲の上を歩き去ったのは、目のない猫だった。
人の身に妖怪の力を埋め込まれ、妖怪を狩る者――宵士(よいし)。
それを生み出す術はとうに失われ、新たな宵士が生まれることは、もうない。
頼まれた仕事だけを片づけて二十年。四十三歳の宵士・朔(さく)は、異国のつば広の黒帽子に、血を吸う刀を差している。その術は、掌から一尺しか届かない。
死人が減っただけだと役人に見捨てられた宿場で、相場の半分にも満たない二両を受け取り、朔は消えた亡骸の行方を追いはじめる。
自分が何を斬ってきたのかを、朔はまだ知らない。
小説家になろうにも掲載しています
屋根も天井も無事のまま。雲の上を歩き去ったのは、目のない猫だった。
人の身に妖怪の力を埋め込まれ、妖怪を狩る者――宵士(よいし)。
それを生み出す術はとうに失われ、新たな宵士が生まれることは、もうない。
頼まれた仕事だけを片づけて二十年。四十三歳の宵士・朔(さく)は、異国のつば広の黒帽子に、血を吸う刀を差している。その術は、掌から一尺しか届かない。
死人が減っただけだと役人に見捨てられた宿場で、相場の半分にも満たない二両を受け取り、朔は消えた亡骸の行方を追いはじめる。
自分が何を斬ってきたのかを、朔はまだ知らない。
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