概要
十三時間の時差。俺たちは、相手が出られない時間を選んでかけている。
大学からの六年、隣にいた早瀬澪(はやせ・みお)が、一年の研修でニューヨークへ行った。搭乗口で「言いたいこと、あるんだけど」と言いかけて、最終案内に遮られて、彼女は「帰るまでに言う」とだけ残して消えた。
翌日の正午、給食指導の最中に着信が一件。放課後に聞いた留守電で、彼女は言った。『たまに電話する。出なくていい。出なくていいから』。
小学校教師の俺は、昼は電話に出られない。彼女は十三時間向こうで、夜に寝る前にかけてくる。だから俺は、翌朝七時、彼女が地下鉄で圏外になる時間にかけ返す。届くのはいつも、相手の昨日の声。
本当は、朝六時に三十分だけ、二人とも出られる時間がある。俺たちはそこを、避けている。
これは、一度も繋がらない電話で、言わないことの手前まで毎日一歩ずつ近づいていく、両片想いの話。
翌日の正午、給食指導の最中に着信が一件。放課後に聞いた留守電で、彼女は言った。『たまに電話する。出なくていい。出なくていいから』。
小学校教師の俺は、昼は電話に出られない。彼女は十三時間向こうで、夜に寝る前にかけてくる。だから俺は、翌朝七時、彼女が地下鉄で圏外になる時間にかけ返す。届くのはいつも、相手の昨日の声。
本当は、朝六時に三十分だけ、二人とも出られる時間がある。俺たちはそこを、避けている。
これは、一度も繋がらない電話で、言わないことの手前まで毎日一歩ずつ近づいていく、両片想いの話。
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