概要
二回、言ったんだ。聞いてなかったのは、そっちだ。
十年間、毎朝七時十五分に、俺は隣の家の玄関で幼馴染を待っていた。遅刻常習の相沢千歌を起こして、学校まで一緒に歩くために。
その十年が、あと三十日で終わる。父の転勤で、俺は十二月二十日にこの町を出る。
千歌には二回、言った。一回目は先輩との電話中で、二回目はテレビを見ながら「うん、聞いてる」と返された。だから今朝、俺は初めて迎えに行かなかった。
ドアを開けると、玄関の前に千歌が立っていた。七時十五分。十年で一度も自分で起きられなかった彼女が。
「引っ越すって、何。……聞いてない」
聞いていなかったのは、そっちだ。
残り三十日。待つ側と待たれる側が、十年目に入れ替わる。
その十年が、あと三十日で終わる。父の転勤で、俺は十二月二十日にこの町を出る。
千歌には二回、言った。一回目は先輩との電話中で、二回目はテレビを見ながら「うん、聞いてる」と返された。だから今朝、俺は初めて迎えに行かなかった。
ドアを開けると、玄関の前に千歌が立っていた。七時十五分。十年で一度も自分で起きられなかった彼女が。
「引っ越すって、何。……聞いてない」
聞いていなかったのは、そっちだ。
残り三十日。待つ側と待たれる側が、十年目に入れ替わる。
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