概要
落ちてきた者が石になって、その上をまた誰かが上がっていく城
百二十三万石を十五で継ぎ、二年で四万石にされた男がいる。
関ヶ原では前田の二万五千を三千で破り、勝ったその年に、何もかも取り上げられた。
丹羽長重、五十二歳。
与えられたのは、奥州の入口の五万石。江戸では「あそこは流された者の置き場よ」と笑われた。その地の名を、棚倉という。
蔵は空。町の辻には「落チ武者ノ殿、来ルナカレ」の落書き。
井戸には毒が投げ込まれ、縄張りの杭は一夜で抜かれ、築城の場所に選ばれたのは、土地の神の杜だった。
北からは、奥州の蓋の重さを測りに、伊達政宗が来る。
江戸からは、浅井畷で父を討たれた旗本が、二度目の改易を仕掛けに来る。
長重は、槍を使わない。
使うのは、石と、水と、一日も欠かさずつけた普請の帳面だけ。
——数だけは、偽らぬ。
これは、落ちた男が五年で十万石
関ヶ原では前田の二万五千を三千で破り、勝ったその年に、何もかも取り上げられた。
丹羽長重、五十二歳。
与えられたのは、奥州の入口の五万石。江戸では「あそこは流された者の置き場よ」と笑われた。その地の名を、棚倉という。
蔵は空。町の辻には「落チ武者ノ殿、来ルナカレ」の落書き。
井戸には毒が投げ込まれ、縄張りの杭は一夜で抜かれ、築城の場所に選ばれたのは、土地の神の杜だった。
北からは、奥州の蓋の重さを測りに、伊達政宗が来る。
江戸からは、浅井畷で父を討たれた旗本が、二度目の改易を仕掛けに来る。
長重は、槍を使わない。
使うのは、石と、水と、一日も欠かさずつけた普請の帳面だけ。
——数だけは、偽らぬ。
これは、落ちた男が五年で十万石
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