秋めいてきまして、夏の疲れが出ている椎堂かおるです。
「三都幻妖夜話・白川編」の第2章が幕開け、第17話を公開しているところです。これまでの話数と比べて3万字を超える長い一話となっています。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884553813白川編は昭和16年の京都を舞台にした作品で、ちょっと時代がかった物事が登場します。
冷蔵庫が氷冷式だったり、台所に竈《かまど》があったり、電話に交換手が出たり、蚊帳《かや》をつって寝ていたりですね。
17話を公開するにあたり、登場人物が何を着ているかの描写が出てくるので、作者ちょっと悩んだのですが……
17話の冒頭にある『品《ひん》のええ上物《じょうもん》の、紺の上布《じょうふ》の着物をさらりと着てる。いかにも、ええとこの坊々みたいやった。』というくだりの、「上布の着物」ってどんなのか、わかりますでしょうか。普段あまり聞かない用語ですよね、おそらく。
お着物を着る方々には、馴染みのある用語なのですが。
上布《じょうふ》は麻の着物です。暑い夏にはちょうどいい、涼しい着心地の普段着〜ちょっとしたお出かけの街着、という位置づけです。
聞いたこともない用語だよっていう読者様も多い思うので「麻の着物」って書くか、すごく悩みました。悩んだんですが、ここはもう上布《じょうふ》でいこかと。思い切ってみました。脚注の機能があれば、文中に解説を付けたんですけども。それも読むテンポに障るので難問ですね。
しょうがないので、この近況ノート記事で代用です。
朧と暁彦はこのシーンで、四条河原の川床で会う約束をして待ち合わせしてるんですが、川床は夕涼みするための場所なので、服装もあまりキメキメにめかしこんで来るとおかしいです。かといってジャージで来ていいわけでもないです。
ちょっとくつろいだ服装やけど、洒落着だぜっていう線で来いよっていうドレスコードの場所なので、「いい浴衣」か「くだけた街着」か、どっちか。
暁彦は浴衣では来なかったですが、浴衣でうろうろするような坊々じゃないんです。今でこそ浴衣はお祭りの日や、夏の晴れ着みたいな位置づけですが、この時代ですとTシャツとジーンズか、ほんまに部屋着ですので、浴衣で夕涼み……というと、かなり親しい仲のイメージになるのかと。
暁彦は朧に改まった話があったので、多少キレイ目のお洒落してきたんですね。朧ちゃん、よく分かったな。浴衣でいかんで正解やったな?
もし四条大橋の上で、ドレスコード違いの人が待ってたら、朧ちゃんきっと光速で走って帰って着替えてきたんやろな……と思います。
遅れてでも服装は合わせてくる性格の人だと思います。
そこまで小説には書いてないのですが、朧が人が着てるものを気にするのは、土地柄もありますが、職業柄でしょうか。着倒れの神様なんです。白川編はコスプレ小説でもあるので、今後も「服が服が」という話を朧がちょいちょいしてくるんですけども、読者様にも面白みがあるといいなと思います。
全然ご興味なかったら、読み飛ばしていただいて平気なんですけどね。
第17話、17−7まであります。木曜日までの毎日更新となりますので、よろしくお付き合いくださいませ。