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白川編9、10話あとがき。・・・坊々、可愛いけど、「ねえ、いつやるの? 今でしょ!」みたいな感じに。

どうもこんにちは。炎暑が続いております。皆様お元気でしょうか。
三都幻妖夜話の作者、椎堂かおる(シドウカオル)です。

カクヨムで初めましての方もおられるかと思い、なんだか知らない人みたいなご挨拶なんですが、実際には白川編をお読みくださってる皆様は、うちの十年来のご常連さんばかりでしょうか?

なーんや、なあなあですね? ビール飲もか!(皆様、成人ですよね?)

白川編は、そこそこ大人向けの、ちょっとだけ怖いお伽噺みたいなのを想定して書いています。
どこらへんが大人向けかというと、エロスっていう訳でなく、あまり子供のいるとこではしたくない話という感じです。でも大人同士ではしたい。酒のんでだらだら話したい。そういう感じです。

カクヨムにふさわしい作品か、正直あまり自信がありません。

いつ消えるとも知れないので、もしカクヨムでしか私を知らないという方がおられましたら、三都幻妖夜話の作品サイト( http://www.santostory.net/ )もしくは作者のオンノベ活動ホームページであるTEAR DROP.( http://www.teardrop.to )のほうにもブックマークをお願いできたら有り難いです。

さて。あとがきを毎回つけたいなと思いつつ、気づけば自動更新で2話も進んでいました。

9話は暁彦が瀕死の篠田くんを救命する話。
10話は、動物園に行く話の前半です。
週明けの月曜7/30に公開の11話が、動物園デート(?)の後半部分になります。

まず9話ですが。皆さん読了していただいたでしょうか。
あとがきですので、ネタバレを含みますが。

「やらへんのかい!!」という内容で。なんかすんません……。
いつ!? やるの!? 肌色じゃねえじゃん!
という展開で、ほんまいつやるの。「今でしょ!」っていう懐かしいアレが脳裏をよぎるんです。

9話でのポイントは、秋津の坊の反魂術。これが重要です割と。暁彦は他人の怪我を治せるけど、自分のは治せない。そういう設定です。

それから水煙の白川編での初登場ですね。滝川さんに御呼ばれした宴席でも、暁彦は水煙を携えて来てたんですが、そこでは無口でした。道具に徹する水煙兄さんでしたね。

朧が、太刀が話すのを聞くのは、ここ9話が最初で、今後の宿敵となる水煙様との初対面となります。

水煙は、大阪編や神戸編の頃とあまり変わりませんね。

神戸編から70年以上前の出来事を物語るにあたり、暁彦も朧も、神戸編の時とは少しキャラが違うように書いてあります。

その後の展開で変わっていく部分、今も昔も変わらない部分があって、秋津暁彦は神戸編のころには戦時を越え、90歳ぐらいの爺さんになっているけど、肉体的には若いという人物。

でも白川編では心身ともに18歳なんですよ……オエエ、若い……。(作者の拒絶反応が)

朧もキャラが平成時代とは違ってますね。朧ちゃん、神戸編ではちょいちょい錯乱するキャラとして描いてますが、その正気でない時の様子が、この昭和の頃の朧っぽいというお話をご感想でいただきまして、そうかもしれへんなあと作者も思っています。

錯乱中がじつは素の自分なんですね、きっと。朧ちゃん、実はけっこう可愛い人で気も弱いんです。千年以上生きてるのに子供っぽいんですね。

たぶん精神的には暁彦のほうが年上みたいで、恋愛についても主導権を握っています。終始そういう関係で、朧は受け身なタイプ。暁彦がやれ言うたらやるし、やらへん言うたら、やらへんのです、何事も。

別に行きたくもない動物園にもお供します。それが第10話です。

岡崎の動物園は実在する場所です。
京都市動物園。狭い京都市内のこと、他府県の大きい動物園に比べたら、こぢんまりですが、親子連れで行くにはとても楽しいところです。

この動物園で、京都画壇の絵師が絵の修練のためスケッチに来ていたというのは、本当の話で、その伝統が続いているのか、今でも京都の画学生さんが暑い日も寒い日もスケッチブックを持って佇み、絵を描いてる姿が見られます。

神戸編のアキちゃんも動物好きな設定でしたが、そのお父さんである暁彦様も動物が好きみたいですね。そして絵も好きで、暁彦にとっては動物園にスケッチに行くというイベントは、日常的な楽しみだっただろうと思います。

その自分の日常の世界へ、出会ったばかりでお互いまだ正体の分からない朧を誘って連れて行く。それは坊々の自己紹介の一部であり、物語の構造としては、読者様への第二の主人公、秋津暁彦のご紹介となります。

暁彦にとっては不本意ながら、アキちゃん大好きの腰巾着、大崎茂と、そのお供の狐、秋尾も登場しました。これも暁彦サイドの登場人物であり、暁彦がどういう境遇の人物であるかの紹介です。

初デートにお目付役が付いてくるような子なのです。小姑が二人も。

秋尾ちゃんが暁彦様とどういうご関係か、神戸編でもちょこっとだけ、妖怪ホテルの宴会で出てきましたが、赤の他人ではないです。

ご主人の茂ちゃんの、そのまたご主君ではなく、直接の繋がりのある人で、茂ちゃんもただの弟みたいなもんではないな? というのが、察しのええ朧ちゃんには一目瞭然だったでしょう。

初対面の祇園の宴席で見た、振袖で稚児姿の美少年式神、乾山(けんざん)に続き、アキちゃんに上から物言う御神刀の水煙。そして弟みたいなもんやったはずの茂ちゃん。さらに、そのお供の狐までが、えらい下からやけど勝手知ったる秋津の坊々みたいに、暁彦様を上手いことあしろうて喋ります。

その中の、一番のニューフェイスが自分やということに、朧が気づかんはずはないのですが、読者様には、その空気をなーんとなく読み取っていただけたでしょうか?

怪しい男。秋津暁彦。
そういうことですね。
そこが伝われば十分なのです。

朧ちゃんは10話ではまだ、特に何も自分の気持ちについては読者様に語ってません。それはまだ物語も始まったばかりで、皆様と打ち解けてないせいです。

シャイな子なんです。なかなか自分の本当の胸の内なんかは語りません。お邪魔虫つきでガッカリしたとかカチンと来たとかは、朧は言うてへんけど、そこは皆様の大人のカンの良さで、察してもらいたいのです。

そういう作りのお話として書いています。語らずとも察してくださいという。想像してもらいたいのです。書いてない部分の主人公の気持ちや、この世界の奥行きとかをですね。

そういうのも大人対象かなと思っています。15歳でも察せる人は察するところではあります。90歳でも無理な人は無理でしょう。年齢では測れない何かです。

10話では、朧は朝から早起きしてお弁当作ってたんですよね。15分で作れるような時短弁当ではないです。(なんだろう耳が痛い!)
鱧(はも)の骨切りからですよ!?
生きてる鱧をシメるとこからです。
揚げ物もあるんですよね。薪をくべるカマドでですよ!?
私なら死んでもやりませんね。悪い坊々はおにぎりでも食うとけ!

おそらく前々日くらいから計画して作ったメニューです。材料だって買いに行かないといけないですし、作中で本人も言うてますように、昭和16年当時としては大変なご馳走でもあります。

そしてキュウリの話ですが、鉾町や祇園社がらみのお家の人は、お祭りの時期にはキュウリを食べない風習があるとか。

朧は暁彦がどんな人物か全然分からないなりに、どんな家の子なのかなあと空想はしたということです。キュウリ食わんかなあは、おそらく的外れだったんですが、そういうことも含めて考えて待ったということですね。

そこに小姑が付いてくるんやからね?
アホちゃう、坊々。はよ、やれや!
などと作者も思うわけですが。

まだや!!

朧ちゃんは、くっ付いてくる茂と狐に怒ってもよさそうなもんですけど、全く怒りません。一緒に行ったらええやんて言うてくれる。

でも、そのお邪魔虫を坊々が撒(ま)いてってくれます。テレポートで!

たぶんそれが嬉しかったんでしょうね。朧は。だからこの話を読者様に聞いて欲しいのです。

この位相転移と作中で呼んでる能力。これも白川編のキモのひとつです。とても重要な能力なので、ぜひ憶えておいてください。

暁彦がテレポートするとき、白川の四季の情景が見えます。この絵も、先々への伏線ではあるのですが、朧はそれを見て、この景色をずっとこの坊々と眺められたらええのになあと言います。モノローグでね。自分の胸の内に呟いたということで、読者様にしか聞こえないんですが。

この一言が、10話で一番大事な、朧の本音だろうと思います。
それから、坊々の式になりたいんやのうて、家族になりたい。特別な誰かになりたいという話ですね。

その坊々の特別な誰かになれる予感を、朧は感じたということなのでしうか。なれると思います?

いろいろあるけど、この子は暁彦と一緒にいたいらしい。そこを読み取っていただいて、先の長い物語ではありますが、まずは、とりあえず近々に公開いたします第11話をお読みいただけたらと思います。

白川の雨も、白川の春も、朧は暁彦様と二人で眺められたらいいですね。作者もそれを目指して、いま第82話を書いております。

暑い中、バテバテですが、皆様に読んでいただく楽しみが、私のエネルギーです。今後ともどうぞよろしく、白川編をお楽しみくださいませ。

ご感想など頂けますと、大変、励みになります。標準語でOKですので、どうぞお気軽に(笑)

2件のコメント

  • やるんかーいやらへんのかーいって二人でドリルしてる姿を

    あんまり想像してはいけない気がしました。
  • いけない想像になってしまいました。
    シリアス路線を保つよう努力しますw
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